“現役ラスト”水谷隼が有終 ペア組んだ張本智和は感嘆「最後までかっこよかった」
「卓球・Tリーグ男子、東京3-1彩たま」(24日、さわやかアリーナ)
現役引退を表明している東京五輪混合ダブルス金メダルの水谷隼(32)が、地元静岡で行われた凱旋(がいせん)マッチに2日連続で出場した。前日に続き、ダブルスで五輪男子団体銅メダルの張本智和(18)と夢のペアを結成。“現役ラストマッチ”と位置づけた一戦で、上田仁、篠塚大登組を2-0で下して有終の美を飾った。パートナーを務めた張本は「最後の最後までカッコよかった」と感嘆の声を漏らした。
最後の晴れ舞台でも千両役者ぶりを発揮した。水谷は調整不足とあって全体としては張本に引っ張ってもらいつつ、勝負所のマッチポイントでは自ら、相手のサーブに対して「決まったらカッコいいなと。ミスっても絵になるし、どうせ点数になるなら絵になる方がいい」と勝負に出たチキータ(攻撃的なバックハンドレシーブ)を完璧に決めた。万雷の拍手に包まれる中、張本と歓喜のハグで喜びを分かち合い、観客席に手を振って応えた。
最後の場面では、張本は「フォアでレシーブを狙った方がいいんじゃないですか」と進言したものの、百戦錬磨のカリスマは「何を的外れなことを言ってるんだ。俺はチキータで勝負するわ」とはね返したという。その言葉通り、会心のチキータで試合に決着をつけた水谷は「ここが世界で勝つ選手のすごいところなんだよと彼に見せたかった」と、してやったりの表情で笑った。
カリスマの勝負強さを間近で見た18歳は「(相手の)フォアにチキータをいくのは相手も予想してなかったと思うし、自分も予想してなかったので、すごいなと思う」と目を丸くし、「最後決めてほしいなと思っていたが、その心配もなく自分で決めてくれて、最後の最後までかっこよかった」と大先輩の底力に感嘆した。
最後に日本の新旧エースとして夢のペアを組んだ張本は、コートインタビューで「自分が卓球を始めて一番初めに知った選手が水谷さんだし、今も一番の憧れでもある。昨日今日とダブルスを組ませてもらって、特に今日は勝ててうれしい」と感慨深げ。共闘を終え「この2日間、隣でプレーさせてもらって、特に最後の1球は学ぶものがたくさんあった。この経験を忘れないように卓球をやっていきたい」と胸に刻み込んだ。