国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）は２１日、中国の元副首相に性的関係を強要されたと訴えた同国の女子テニス選手、彭帥（３５）の安否が懸念される問題で、バッハ会長が同選手と３０分間にわたりテレビ電話で通話し、無事を確認したと発表した。来年２月の北京冬季五輪の開催に響きかねないと判断した中国当局がＩＯＣと連携して事態の収拾に乗り出した。

　ＩＯＣは「北京の自宅で安全かつ元気にしているが、今はプライバシーを尊重してほしい、と彼女は説明した」と疑念の打ち消しに努めた。ただ詳細な経緯は不明で、国際社会が納得するかどうかは不透明。中国当局が彭帥を監視している可能性が高い。

　五輪開幕前の１月に現地入りするバッハ会長は、彭帥を北京での夕食に招待し、快諾を得たという。ＩＯＣは、バッハ会長と笑顔で通話する様子を収めた写真とともに「彼女は今は友人や家族と過ごすことを望んでいる。しかし大好きなテニスには関わっていく」と強調した。同会長の談話は出さなかった。

　ＩＯＣの李玲蔚委員（中国）とエマ・テルホ選手委員長（フィンランド）も通話に参加。テルホ委員長は「元気にしているのを見て安心した。リラックスしているように見えた。支援や、彼女の都合が良い時に、いつでも連絡を取り合うことを申し出た。彼女は明らかに歓迎していた」とコメントした。

　彭帥は不倫関係にあった張高麗元副首相から性的関係を迫られたとする文章を２日に短文投稿サイトに投稿。その後、動静が分からなくなったが、２１日に北京で開かれたイベントに姿を見せた。

　米国のサキ大統領報道官や国連人権高等弁務官事務所（ＯＨＣＨＲ）報道官は、身の安全の証明を中国側に求めていた。