WTA 中国開催中止に称賛 彭帥さん巡りIOCと対応対照的 北京五輪開催に影響も

 テニスの女子ツアーを統括する女子テニス協会(WTA)は1日、女子テニスのダブルス元世界ランク1位の彭帥(Peng Shuai)さんが中国共産党の最高指導部メンバーだった張高麗元副主将に性的関係を強要されたと告白した後、安否不明となっている問題で、香港を含む中国での全ての大会の開催を見合わせると発表した。スティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)は「中国の指導部は非常に深刻な問題に、信頼できる方法で対処していない」と、声明を出した。

 中国側から中国共産党系メディアを通じて彭さんが「無事」であることを強調する動画などが発信されているが、サイモン氏は「彼女の自由と安全、そして検閲や強制、脅迫を受けていないかどうかに重大な疑念を抱いている」と断じ、「2022年に中国でイベントを開催した場合、選手やスタッフ全員がさらされるリスクについても大きな懸念がある」と、決断に踏み切った理由を説明し、「経済的な影響があろうとも、世界中のリーダーが彭帥や全ての女性に正義がもたらされるよう、声を上げ続けることを願う」と訴えた。

 WTAの行動は大きな称賛を集めており、2カ月後に北京五輪を控える中、11月に彭さんとテレビ電話で面会し、「無事」を確認したことを発表し、国際人権団体やアスリート団体から「中国の悪意ある宣伝に加担した」と批判されている国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長とは対照的だ。

 WTAは例年9大会前後のツアーを中国で開催しており、年間成績上位選手によるWTAファイナルも30年まで中国・深センでの開催が決まっている。経済的な損失は計り知れないが、元世界ランク1位のアンディ・ロディック氏はツイッターで「尊敬する。WTAよりもはるかに多くのことができる余裕のある組織はたくさんあるだろう。テニス界にいることを誇りに思う」と、称えた。女子で四大大会18度の優勝を誇る名選手マルチナ・ナブラチロワさんも「お金より原理原則を大切にした勇敢な姿勢」とWTAを称賛した一方で、IOCに対して「さてあなたたちは何と言うの?今までのところ、あなた方の声はほとんど聞こえないんだけど」と、批判した。

 また、四大大会12回の優勝を誇り、女子テニス協会(WTA)を創設した元名選手のビリー・ジーン・キングさん(78)もツイッターで「WTAは選手を支え、歴史的に正しい側に立った」と支持表明した。

 一方で彭帥の動画をツイッターに投稿してきた中国共産党機関紙系「環球時報」の胡錫進編集長は「WTAは中国に対する西側の攻撃を支援するように強要している。彼らは彭帥の表現の自由を奪い、彼らの期待に応える状況でなければならないことを要求している」と、反発した。

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