バッハ会長 彭帥問題など中国人権問題「五輪では解決できない」 独通信社に
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は7日、ドイツ通信社(DPA)のインタビューで、新疆ウイグル自治区の人権問題や、女子テニスのダブルス元世界ランク1位の彭帥(Peng Shuai)が中国共産党の最高指導部メンバーだった張高麗元副首相に性的関係を強要されたと告白した後、安否不明となっている問題などで揺れる来年2月の北京五輪について言及した。
この日、米国が新疆ウイグル自治区での問題を理由に外交団を派遣しない外交的ボイコットを表明。他国も追随する可能性がある。大会に激震が走る中、バッハ会長は「IOCに政治システムを変える力と手段はない。五輪が国、政治システム、法律を根本的に変えることができると期待することは完全に誇張された期待だ。何世代にもわたる政治家が解決できない問題を解決することはできません」とした上で「大会には政治的中立性が適用される。大会にはスポーツの平和的な競争で世界を団結させる使命がある。これはどこでやっても他のすべての紛争よりも優先される。この使命は非常に対立的なこの時代において、かつてないほど重要になっている」と、開催の意義を強調した。
IOCが2度に渡るビデオ通話で、「安全」を確認したとしている彭帥については「彼女との会話にはとても感動した。彼女の身体的完全性については懸念があったが、個人的な接触を通じて、それは確立されたと自信をもって言える。今後も人道的な努力と連絡を継続する。中国側とはこの事件のすべての側面で協議している」と説明した。
IOCの対応は、国際人権団体やアスリート団体から「中国の悪意ある宣伝に加担した」と批判されているが、「静かな外交と対面でのコンタクトを尊重してほしい」と、理解を求めた。中国での大会開催を中止した女子テニス協会(WTA)の対応については「2つの選択肢がある。WTAのように公式の声明を出すか、直接接触のアプローチを選択するか。WTAはその道を進み、決定を下しました。他の多くのスポーツ団体は別のルートを選択しています。方法は異なりますが、目標は同じです」と話した。
一方で問題については「これは五輪とは何の関係もない。選手個人の問題」とし、大会と切り離した。