レッドブル・ホンダのフェルスタッペンが30年ぶり総合V「最終ラップにチャンスがあった」

 「F1アブダビGP・決勝」(12日、アブダビ)

 レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(24)=オランダ=が今季10勝目、通算20勝目を挙げ、ドライバー部門初の総合優勝を果たした。今季限りで撤退するホンダのエンジンのドライバーによる制覇は、マクラーレンと組んでいた1991年のアイルトン・セナ(ブラジル)以来30年ぶり。アルファタウリ・ホンダの新人、角田裕毅(21)が自己最高の4位。メルセデスのルイス・ハミルトン(英国)は2位で総合5連覇を逃した。製造者部門はメルセデスが8連覇し、レッドブル・ホンダは2位だった。

 ハミルトンを絶望的な10秒以上の差で追う53周目に起こった事故で流れが変わった。フェルスタッペンは幸運にも恵まれて最終58周目でトップに立ち、復帰7シーズン目のホンダに総合タイトルをもたらした。新王者と歓喜の抱擁を交わした山本雅史マネージングディレクターは「集大成として、気持ち良く笑顔で終わることができた」と実感を込めた。

 事故でセーフティーカーが出動するとフェルスタッペンはすかさず新品のタイヤに交換。「戦い続けて、最終ラップにチャンスがあった」という。残り1周で再開されると一気に仕留めた。

 復帰した15年はパワーユニット(PU)の開発に苦しみ、完走させるのもやっとという状況だった。19年から強豪のレッドブルとコンビを組み、試行錯誤しながら栄光にたどり着いた。田辺豊治テクニカルディレクターは「さまざまな苦労と喜びがあった。地道な研究と努力の結果が実を結んだ」と感慨に浸った。

 角田がルーキーシーズンの最後に真価を発揮した。8番手スタートから粘り強く順位を上げ、表彰台まで0秒519差に迫りゴール。「シーズンを締めくくるにふさわしい、素晴らしい結果。とてもうれしい」と大きくうなずいた。デビュー戦で9位入賞。その後は苦しんだが、最初の1年を勉強の時間と捉えてマシンの調整、レース戦略への理解を深めてきた。その努力が実を結び「長い道のりだったが、自信を取り戻すことができた」と語った。

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