元横綱白鵬に聖火リレートーチ贈呈「亡くなった父親が喜んでいる」
大相撲で歴代最多45回優勝を果たした元横綱白鵬の間垣親方(36)が21日、都内の日本オリンピックミュージアムを訪れ、東京五輪聖火リレートーチと聖火ランナーユニホームを贈呈された。同式には山下泰裕JOC会長、橋本聖子組織委員会会長、森喜朗前会長らが出席した。
間垣親方は現役時の今夏、大相撲を世界に発信するセレモニーや聖火リレーへの参加が準備されていたが、新型コロナウイルスの影響や日程が合わず、見送られていた。
「世界に日本の伝統文化を見せたい思いがあり、(セレモニーに参加し)期待に応えたい思いはありましたが残念ながらかなわなかった。このような形でトーチとユニホームをいただけたことは亡くなった父親が本当に喜んでいる。オリンピアンの家族として感謝します」と感激した。
親方の父・ムンフバトさん(故人)はモンゴル代表として1964年の東京五輪にレスリング選手として出場した。68年メキシコ五輪では同国初のメダルとなる銀メダルを獲得した英雄。現役横綱として2020東京五輪を迎えることは亡き父との約束だった。
また、親方はモンゴル・オリンピック委員会のアンバサダーを務めてきた。日本と協力し、今後も相撲のみならず、スポーツの発展への貢献が期待される。
「自分も(現役)20年頑張ってきた。14年、横綱として大相撲ファン、国民の皆さんに勇気と感動を与えたと思う。今後、20年、30年、皆さんの思いに応える弟子を育てていきたい」と誓った。
親方に励ましのお言葉を送った森前会長は「励ましの言葉と申しましても、これ以上、励ましたら何をするか分からない」と、笑わせ式を盛り上げた。
五輪のセレモニー参加がかなわなかったことに「申し訳なかった」と親方に詫びた。五輪の開会式のプランとして「今でも最後に長嶋が王と松井と階段まで上がって、階段の上から白鵬がたいまつ(聖火)を掲げてくれることをずっと夢見ていた。それができなかったのは残念だった」と、明かした。
親方としても期待。「協会の長い間の伝統や風習や悪い弊害やいろいろある。こういうのをどう乗り越えて、日本の相撲というものをどれだけ世界に、という役割を白鵬さんにはしてもらいたい。協会との軋轢(あつれき)もあるんだと思うけど、土俵のそばで天皇陛下ありがとう、と国家を歌う力士は今までいなかった。日本人らしい力士で尊敬しています。これからも間垣親方として多くの足跡を残していただいて。私はそう長い命じゃない」と“脱線気味”なエールを送った。