柔道 無差別級大会で70キロ級・田中志歩が殊勲V 代表監督驚き「誰も予想してなかった」
「柔道・全日本女子選手権」(25日、講道館)
体重無差別で争われた。決勝は70キロ級の田中志歩(23)=JR東日本=が、78キロ超級の児玉ひかる(東海大)に延長戦の末、指導3つによる相手の反則で下し、初優勝。最重量級以外の優勝は2013年の緒方亜香里以来8年ぶりで、1986年の第1回大会を制した八戸かおりに次ぐ史上2番目に軽い王者となった。
東京五輪金メダルの素根輝(パーク24)、世界女王の朝比奈沙羅(ビッグツリー)、前回覇者の冨田若春(コマツ)の“3強”が欠場し、優勝経験者不在のサバイバル戦となった今大会。70キロ級ながら日本一に輝いた田中は「無差別級で優勝できたのはとてもうれしい」と声を弾ませた。
決勝は自身より40キロ近く重い重量級選手が相手だったが、手堅い組み手とスピーディーな身のこなしで応戦。相手の攻撃の芽を摘みながら体力を削り、延長に入ってからはギアを上げた。自ら奥襟をつかんで攻撃にいくなど積極性を見せ続け、最後はスタミナの切れた相手が根負け。殊勲の新女王は「組み手で我慢して我慢して、疲れたところを技を掛けようという作戦だった。組み手を徹底したら(78キロ)超級にも勝てないことはないと思っているので、勝ててうれしい。競って競って勝ち切れたので自信になった」とうなずいた。
視察した日本女子代表の増地克之監督は「体重無差別は柔道本来の姿。(現在の)国際ルールの中で軽い選手が勝ち抜くのは非常に難易度が高い。(田中が)無差別級でも十分戦えるとはある程度は考えていたが、優勝するところまでは誰も予想していなかった」と驚きをにじませつつ、「予想を覆す成績は我々(強化スタッフ)にとってもプラスだし、彼女の柔道人生でも価値ある結果になったのではないか」と称賛した。
ビッグタイトル獲得に、田中は「全日本で優勝したので、恥じないようにしていきたい」と自負。主戦場の70キロ級では東京五輪金メダルの新井千鶴が引退し、パリ五輪への代表争いは横一線となるだけに「まずは(GSパリ大会優勝の)新添(左季)さんに勝ち、海外選手にも勝って五輪を狙っていきたい」と気合を入れた。