アイスダンス・高橋大輔&村元哉中組 猛追も2位 会心の抱擁「超進化できた」

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(25日、さいたまスーパーアリーナ)

 北京五輪代表最終選考会を兼ねて行われ、アイスダンスのフリーダンス(FD)は、リズムダンス(RD)首位の小松原美里(29)、尊(30)組=倉敷FSC=がFD2位の110・01点、合計178・17点で逃げ切り、大会4連覇を達成した。RD2位の村元哉中(28)、高橋大輔(35)組=関大KFSC=はFD1位の112・96点、合計176・31点でわずか1・86点差の2位だった。五輪代表1枠を巡る一騎打ちは、4つの選考基準を2つずつ分け合い、26日の発表を待つ形となった。

 絆を確かめ合う力強い抱擁に、全身全霊で駆け抜けた2年間の思いがこもっていた。RDの転倒が響き、2位。それでも自己ベストに迫る演技での追い上げで意地は見せた。高橋は「悔やまれるのはRD」と天を仰ぎつつ「気持ちは切りかえて、すごくいい演技ができた」とうなずいた。

 4・81点差を追って臨んだフリー。序盤から息の合ったステップ、キレのあるツイズル、力強いリフトを決めていった。中盤のリフトと最終盤に高橋がバランスを崩す場面もあったが、しっかりとフリーダンス「ラ・バヤデール」の幻想的な世界観を体現した。

 カップル結成2シーズン目で、これがまだ6試合目。昨年大会では優勝した小松原組に23・37点差をつけられての2位だったが、「今年は2位でもまったく出来も内容もやっていること全て違う。(今季のテーマである)超進化できたと思う」と胸を張った。

 勝ちきれなかったことで、五輪切符の行方は26日の代表発表を待つしかなくなった。選考基準の4項目のうち、村元・高橋組はISU今季ベスト、今季世界ランク、小松原組は全日本優勝、世界ランクの2つずつを分け合う形に。国際的評価を得る村元・高橋組か、実績と最後の直接対決の結果で上回る小松原組か。選考は難航する可能性が高い。

 ただ、人事は尽くした。高橋は「マジで分からないですよね。ふたを開けるまで」と頭をかきつつ、「考えても仕方ない。今日はクリスマスを楽しんで、ポジティブな気持ちで待ちたい」と笑った。アスリートとして、肉体のピークを過ぎた中で選んだ第2の道。1日4食の食事に、筋トレによる肉体改造で格段の進化を遂げた。シングル時代を含め、日本フィギュア界最多となる4度目の夢舞台はあるか。35歳の“レジェンド”はクリスマスの夜に祈り、天命を待つ。

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