羽生【一問一答】「もうちょっとだけ頑張ります」葛藤も奮起、4Aは「みんなの夢だから」
「フィギュアスケート・全日本選手権」(26日、さいたまスーパーアリーナ)
男子シングルで2年連続、6度目の優勝を果たした羽生結弦が、取材に応じた。両足着氷、ダウングレード判定を受けたクワッドアクセル(4回転半)については、「本当に、死にに行くようなジャンプを繰り返していた」と練習の段階から、体を何度もリンクに打ちつける苦しいものだったと明かした。以下、一問一答の要旨。
-フリー振り返って
「疲れました。ただ、4A込みで通す練習、完全な通しではないですけど、昨年同様の練習がある程度まで、自分の中では6割程度、60%くらいの達成度で練習は出来てこれてはいたのでなんとか持ったかなという印象です。ただ、やっぱりループとは比べものにならないくらい体力の消耗はありました」
-4Aに挑戦して手応えは。
「今日の朝の練習で自分の中では回せることを期待はしていなくて、とにかく本番が1番大事なので本番にあわせきれるようにと練習していました。ただ、あまりにも跳べなさすぎて若干失望していて、本番行くまでにかなり精神がぐちゃぐちゃになっていたけど、そういうところも含めて4回転半まだ自分自身成功しきれていないジャンプを本番で使用するのはそういうところも含めて難しいんだなと改めて感じさせてもらえた」
-4Aの出来栄えは。
「頑張ったなという感じです。初日であのアクセルをみなさん初日に見ていて、『羽生めちゃくちゃアクセル上手になったじゃん』と思われたと思うけど、あれが出来るようになったのがここ2週間くらい。それまではずっとぶっ飛ばして飛んでいて軸が作れなくて回転も足りなくて何回も何回も体を打ち付けて死ににいくようなジャンプをずっとしていたけど、やっとああいう風になり始めて。でもそれが毎日出来るわけじゃない」
(続けて)「皆さんの中でこれは跳べるんじゃないかと思って頂けたと思うけど、正直結構まだいっぱいいっぱい。あそこまででも。軸を作ることがどれだけ大変なのかということと、軸を作りきれる自信ができてそれから100%で回しきることをやっていかないとだめなので、試合の中であれだけ出来たらまだ今の自分にとっては妥協できるところにいるんじゃないかなと思います。悔しいですけどね」
-もし五輪があったら…。
「全日本優勝してもあったらなのか(笑)」
-挑戦は続けるか。
「正直言っちゃうとNHK杯前にこれよりも、もっと悪いできでしたけど、やっと立てるようになったのがNHK杯前で、やっと立てたなと思ったら次の次の日当たりにねんざして、そのあとねんざしたらストレスとかいろいろ溜まって食道炎になって熱が出てみたいな。いろいろあって1カ月間全然何も出来なかったけど、その時点でやめちゃおうかなと思った。ここまでこれたし、形にはなったし、こけなくなったしなと思って」
(続けて)「だからこの全日本に来るまでもNHK杯よりもうまくなってしまったけど、正直これでいいんじゃないかなと思った。自分の中で。これでやめても良いんじゃないかなと。すごく皆さんに『羽生さんにしか出来ないですよ』とか『羽生ならできるよ』と言ってもらえるのはすごく嬉しいけど、自分の中で限界を感じた。だからこれでいいじゃんと思ったけど、すごい悩んで悩んで苦しんで、もうちょっとだけ、せっかくここまで来たんだったらやっぱ降りたいといっている自分がいるんで。めちゃくちゃ皆さんに迷惑かけるかもしれないですけど、もうちょっとだけ頑張ります」
-戻って来られたきっかけは。
「練習方法がちょっとずつ確立されてきて、自分の中で。このためにはこの練習をするべきなんだなと言うのが色々できてきて、やっとその子達がちょっとずつ実になってきた感じ。わかったっていってパッてやってそれが出来るわけじゃないので。3Aとは全く違うし、もっと積み重ねて行かないといけないなとこれからも思っています」
-やめちゃおうと思ってそこからここまで戻ってくるきっかけや過程は。
「長くなりますけど大丈夫ですか。短めに。正直、自分の中でも結構、焦っていて、早く飛ばないと体が衰えていくのは分かるし。ただ、自分が設定した期限よりも明らかに遅れていっているので、なんでこんなに跳べないんだろうという苦しさはあるんですけど。そういう意味での苦しさと自分の中でこんなにやってるのに出来ないのにやる必要あるのかなとか、諦めみたいなのがだいぶ出たけど」
(続けて)「全日本に来る最後の日の練習で本気でしめて、あと4分の1で完全に360度回りきった状況、q判定されるようなところで4発くらいこけてて、その時に色々考えた結果、この全日本でやめられないなって。せっかくここまで来たんだったらみんなの夢だから。皆さんが僕に懸けてくれている夢だから。皆さんのために、自分のためにと言うのももちろんあるけど、皆さんのためにも叶えてあげたいなと思いました」
-クワッドアクセルはどんな練習をしているのか。
「どれくらい跳んでるんですかね。1日に今本数制限はしています。4回転半にトライする本数制限をしているだけで、4回転半に行き着くためのトリプルアクセルだったりシングルアクセルだったり、今回公式練習で何度かやってましたけど、ああいう練習をひたすら何十本もやっています。あとは精神的にという事が強いですけど、誰も飛んだことないんですよ。誰も出来る気がしないと言っているんですよ。それを出来るようにするまでの過程ってひたすら暗闇を歩いているだけなんです。だから、毎回頭打って脳しんとうで倒れて死んじゃうんじゃないかとかって思いながら練習はしていました」