小林陵侑が逆転優勝 大ジャンプで夜空に吠えた 5m弱の差をひっくり返しW杯通算23勝目
「ノルディックスキー・ジャンプ男子W杯」(29日、オーベルストドルフ)
伝統のジャンプ週間開幕戦を兼ねて行われ、小林陵侑(25)=土屋ホーム=が合計302・0点で逆転勝ちし、3季ぶりの総合優勝へ好発進した。W杯は今季4勝目で、通算23勝目。1対1の対戦形式で争う1回目に128・5メートルを飛んで伊東大貴(雪印メグミルク)を下して5位につけると、2回目に最長不倒の141メートルを飛んで順位を上げた。
着地をぴたりと決めると、両腕を真横に突き出しながら夜空に向かってほえた。2回目にヒルサイズを4メートルも越える大ジャンプを見せた小林陵は「めっちゃ、叫んじゃった。気持ちよかった」。1回目5位からの圧巻の逆転劇だった。
28日の予選から風雨にさらされ、この日も飛躍に不利な追い風がきつく吹き続けた。それが小林陵の2回目に不思議と静まった。「いい状況で出てラッキー」。高い飛行曲線で飛距離を稼いだ。
踏み切りのタイミングが遅れた1回目は首位のヨハンソン(ノルウェー)と8・6点差。「結構、厳しいだろうなと。優勝とかは考えていなかった」と過度な緊張もなく飛んだ2回目で、飛距離換算で5メートル弱もの差をひっくり返した。
70回目を迎えた伝統のジャンプ週間で通算6勝目。日本選手では船木和喜(フィット)の5勝を上回って単独最多となった。「全然、考えていなかった。うれしい」。W杯は直近4戦で3勝。3季ぶりのジャンプ週間総合優勝へ力強く第一歩を踏み出した。