帝京大 往路史上最高2位 5区細谷翔馬が有言実行の2年連続区間賞
「箱根駅伝・往路」(2日、大手町~神奈川県箱根町芦ノ湖駐車場)
関東の20校とオープン参加の関東学生連合を加えた21チームが参加して行われ、帝京大がトップの青学大から2分37秒差の5時間24分43秒で、2位に入った。総合連覇を狙う駒大はトップから約3分半遅れの3位だった。コロナ禍が続く中での開催で、沿道での応援自粛などが呼び掛けられた。
天下の険に吹きすさぶ強風をものともせず、赤い旋風が駆け抜けた。帝京大は山上りの5区で4位でタスキを受けた細谷翔馬(4年)が2年連続の区間賞の走りで2位に浮上。昨年を1分以上上回るタイムをマークし、15年連続23回目の出場となった大学を、往路史上最高順位に導いた。
大会前から「5区では誰にも負けない」と公言してきた。抜群の推進力で坂を征服し、向かい風を切り裂いた。「言ったからにはしっかり走らないと、と思っていた。1区から4区の選手の走りを見て、すごい勇気をもらった。帝京初の2位はうれしいけど、往路優勝を目標にしていたので悔しい」と先頭でゴールテープを切れなかったことを悔やんだが、有言実行の快走だった。
山形県寒河江市出身。東北が生んだスーパースター、“2代目山の神”の柏原竜二(東洋大、福島県出身)の姿を見て、箱根の山に憧れた。我慢と忍耐が必要な5区で輝いた最上級生を、中野監督は「帝京大のキャッチフレーズは“最後まで諦めない”だが、世界一諦めの悪い男だなと思った」と称えた。
チームは有力校が安定感を欠く中で、3区区間4位の遠藤を筆頭に粘り強い走りで往路をまとめた。史上初の総合優勝に向けて、2分37秒差で青学大を追う。相手は屈指の選手層の厚さを誇る優勝常連校だけに、指揮官は「(往路で)姿が見えるところでと思っていたけど、見えなかったので」と慎重に語りながら「ベストパフォーマンスでゴールまでたすきを運びたい。そうすれば先に何かが見えるかもしれない。彼らの力を信じるしかない」と選手たちに希望を託した。
不屈の“帝京魂”がさく裂した時、赤い旋風が先を行く新緑のタスキをのみ込む。
◆帝京大の箱根駅伝 今大会で15年連続23回目の出場となった。過去最高順位は往路3位(2000年)、復路3位(2019、2020年)、総合4位(2020年)。