柔道・大野将平 最強の生物になる 鉄壁柔道「自分でもコイツとはやりたくない」

 第60回ホワイトベア・スポーツ賞を受賞した(左から)大野将平、水谷隼氏、橋本大輝(撮影・堀内翔)
 ホワイトベアのぬいぐるみを肩にのせ、笑顔を見せる大野将平(撮影・西岡正)
 自身の写真にサインをする大野将平(撮影・堀内翔)
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 デイリースポーツ制定「2021年度ホワイトベア・スポーツ賞」の表彰式が23日、東京都千代田区の第一ホテル東京で行われた。昨夏の東京五輪柔道男子73キロ級で金メダルを獲得し、16年リオデジャネイロ大会に続く2連覇を果たした大野将平(29)=旭化成=は、相手の技を防ぎきった上で勝ち切った自身の戦いぶりを振り返り、「自分でもコイツとやりたくない」と客観視しながら自賛。3連覇を含めて今後の目標は白紙だが、「白クマのように最強になれるよう精進したい」と柔道家として探究を誓った。

 大きく広く発達した背中をゆったり揺らしながら、大野は貫禄たっぷりに表彰を受けた。全日本柔道連盟の山下泰裕会長をはじめ、歴代受賞者のそうそうたる顔ぶれに名を連ね、「柔道界、スポーツ界の偉大なる先輩方も受賞したホワイトベア・スポーツ賞を受賞でき、大変光栄に思う」とスピーチした。

 しっかり組んで、真っ向勝負で相手を投げ切る本格スタイルで王道を切り開いた。昨夏の東京五輪では、徹底マークを受けながら5試合を戦い抜き、再び頂点に立った。特に決勝はシャフダトゥアシビリ(ジョージア)と9分26秒の死闘で、相手が奇襲の逆一本背負いなどを仕掛けてきたものの、全てを受けきって仁王立ち。最後は支え釣り込み足でねじ伏せた。「(相手の技に)ことごとく反応し、鉄壁だった。投げられてもおかしくなかったが、何事もないかのように、危なげなく受けていた。よく集中して、研ぎ澄まされていた」。

 試合映像を見返すと今でも身震いがするという。攻撃的な柔道で圧倒的な優勝劇を見せた前回リオ五輪とも違う、新たなすごみを漂わせた堅固な戦いぶりに「顔色も変えず淡々と前に出て、ふてぶてしく戦っているなと。自分で見ても、コイツとはやりたくない」と笑いながら自賛した。

 デイリースポーツの改発博明社長が「組み合って一本を狙う大野選手の柔道は感動する。一時期はタックル(現在は禁止)や組み手争いばかりの変な柔道もあったが、これぞ日本の柔道という姿を示してくれた」と紹介すると、大野は「変な柔道をしないように今後も心がけ、白クマのように最強になれるように精進したい」と呼応。ホワイトベア賞は白クマが陸上でも水中でも最強の生物であるとの一説が由来だが、畳の上では白クマすら大外刈りで吹っ飛ばしかねないほどの強さを探究する勢いだ。

 パリ五輪での3連覇挑戦を含め、次のターゲットは白紙だが、「目標は無理につくらない。毎日稽古を継続して、少しずつ試合に出られるくらいの強い自分を取り戻せたらいい。一喜一憂せず、日々ケガなく続けることが重要」と泰然自若。柔道家としての歩みはまだまだ止まらない。

 ◆大野将平(おおの・しょうへい)1992年2月3日、山口県山口市出身。7歳で柔道を始め、東京・弦巻中、世田谷学園高時代は柔道私塾の講道学舎で腕を磨いた。天理大に進学し、天理大大学院出。13、15、19年世界選手権、16年リオ五輪で金メダルを獲得した。リオ五輪後は休養し、大学院での学業を優先し、修士論文を執筆。18年1月に修士論文を提出し、翌月から本格復帰した。

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