御嶽海 大関決めた!長野出身では雷電以来227年ぶりの昇進へ「注目してください」

 御嶽海(右)が寄り切りで照ノ富士を破り、優勝を決める
 優勝した御嶽海(右)はオープンカーに乗って笑顔を見せる。旗手碧山(代表撮影)
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 「大相撲初場所・千秋楽」(23日、両国国技館)

 関脇御嶽海(29)=出羽海=が横綱照ノ富士を寄り切りで破って13勝2敗で3度目の優勝を果たし、大関昇進を決めた。長野出身の新大関は、伝説の力士・雷電以来227年ぶり。名門・出羽海部屋では、1975年九州場所後の三重ノ海以来47年ぶりの新大関となる。番付編成を担当する審判部は、八角理事長(元横綱北勝海)に大関昇進を諮る臨時理事会の招集を要請し、了承された。26日に開催される理事会と春場所(3月13日初日、エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議を経て「大関御嶽海」が誕生する。

 万感をかみしめ、目を潤ませた。花道での優勝インタビュー。臨時理事会の招集決定を知らされた御嶽海は「なかなか…」と声を詰まらせた。ついにつかんだ大関の座。ひと呼吸置くと「そういう経験はできることじゃないので、素直にうれしいです」と穏やかな笑みを浮かべた。

 1差で追われる照ノ富士との対決。迷いはなかった。強烈な左のおっつけで横綱の差し手を封じると、いったん体が離れた後にスッと中に入ってもろ差しに。左下手を引き、堂々と寄り切った。優勝や大関がちらついた一番でも「それほどプレッシャーはなかった。いろいろ考えさせられたけど、いい意味で気持ち良くとれた」。重圧を真っ向から受け止め、自信を持って横綱を倒してみせた。

 三役在位は昭和以降で6位となる28場所。大関候補と言われ続け、18年名古屋場所で初優勝、19年秋場所で2度目の優勝を果たした。だが、続けて結果を残せない。貴景勝、朝乃山、正代に先を越され「早く僕も上がりたいと思っていた。悔しいという思いで、ずっと上を目指していました」と振り返った。ただ、燃える思いは表には出さず。ようやく悲願をかなえ「ひそかに狙った方がカッコいいかなと思って」と笑って打ち明けた。

 足踏みが続く間に、少しずつ成長はしていた。師匠の出羽海親方(元幕内小城ノ花)は「ここ最近、若い子たちに相撲を教えたり、声をかけたりする姿がよく見受けられる。そこは違うかな。兄貴的な存在というか、変わったかな」と明かした。三役までは幕下付け出しデビューからのスピード出世。追いついていなかった心が、雌伏の時を経て成熟し、結果となって表れた。

 長野出身の大関は、史上最強とうたわれる伝説の力士・雷電以来。名門・出羽海部屋にとっても47年ぶりとなる待望の新大関だ。好角家をうならせるスケール感にかかる期待は大きいが、本人に過度な重圧はない。春場所へ向け「みなさん注目して見てください」とほがらかに国技館の観客に呼びかけた御嶽海。ようやくたどり着いた地位にふさわしい活躍がこれから始まる。

 ◆雷電為右衛門(らいでん・ためえもん)…大相撲史上に残る、江戸時代の伝説的な強豪力士。日本相撲協会の資料によると、1767年、現在の長野県東御市に生まれる。幕内在位は36場所で、大関は27場所務めた。身長197センチ、体重170キロの堂々たる体格で、幕内では254勝を挙げ、負けはわずか10番だった。あまりに強かったため張り手などが禁じられたと伝えられている。

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