水谷隼引退、海外ライバルも惜別「いびきヒドい」「悔いは私に勝てなかったこと」
卓球男子で東京五輪混合ダブルス金メダルの水谷隼(32)が27日、東京・アリーナ立川立飛で引退セレモニーを行い、集まったファンの前で現役生活に別れを告げた。長女・茉莉花ちゃん(7)からのサプライズの花束贈呈に感激するシーンもあり、最後は後輩選手からの胴上げで送り出され「思い残すことはありません」と晴れやかに話した。
長年ライバルとして戦ってきた世界トップ選手からも、VTRで惜別のメッセージが寄せられた。
五輪男子シングルス2連覇の馬龍(中国)は「われわれはお互いに尊重し合って競ってきた。あなたもずっと努力し、五輪で金メダルも獲った。(心残りとして)生涯で一番悔しいことは私に勝てなかったこと(シングルスで0勝15敗)じゃないですか」と冗談めかしながら日本の第一人者をねぎらい、「卓球は人生のほんの一部だけ。これからも素晴らしき人生であるように祈っております」とエールを送った。
水谷がドイツ時代にチームメートだった元世界ランク1位のボル(ドイツ)は旧知の仲とあって「彼のいびきがヒドいこともよく知っている」と笑いつつ、「悪口はこれぐらいしか思い浮かばない。隼、本当に寂しくなるよ。選手としての実績も、何より君が人間として素晴らしかったことを尊敬している」と惜別した。
また、同じくドイツで同僚だったオフチャロフ(ドイツ)は、19年スウェーデン・オープンの際に水谷が「混合ダブルスのやり方を世界に証明してみせる」と話していたことを明かし、「君は間違いなく世界に証明して見せた」と脱帽。「君が引退することを正直受け入れるのが難しい」と惜しみつつ、「君と共に練習し、一緒にプレーできたことはこの上なく幸せなことだった」と賛辞を送った。
また、東京五輪まで男子代表監督を務め、現木下マイスター東京監督の倉嶋洋介氏はセレモニーで花束を贈呈した。「彼が小中学生から一緒にやってきたが、世界選手権など、走馬灯のように彼のポイントになった試合が思い出された」と感慨深げ。今後は木下アカデミーでの後進育成に協力を仰ぐ考えを示し、「第一線からは離れるが、また引き続き卓球界に貢献してほしい」と期待を込めた。