村岡桃佳 日本人1号!金メダル “雪の女王”メダルラッシュへ 完走わずか3人の難コース攻略
「北京パラリンピック・アルペンスキー・女子滑降座位」(5日、国家アルペンスキーセンター)
滑降の女子座位で、日本選手団主将の村岡桃佳(25)=トヨタ自動車=が1分29秒77をマークし、日本選手団の今大会メダル第1号となる金メダルを獲得した。前回平昌大会の大回転に続いて自身2個目で、通算6個目のメダル。男子座位では森井大輝(41)=トヨタ自動車=が1分18秒29で銅メダルに輝き、5大会連続のメダルを獲得した。
アルペンスキー女子滑降座位は出場7選手中、完走はわずか3人。パラリンピック史上、屈指の難コースで村岡のクレバーな滑りが光った。
攻めるポイント、スピードを抑える局面を事前にシミュレーションし、思い描いたラインを描いた。「どうしても今日、金メダルを取りたいという気持ちだった」。左腕を突き上げて喜びを表した。
スタート直後の崖のように感じる急斜面に加え、2カ所の直角カーブ。ハーフパイプの中を滑るようなすり鉢状の難所も待ち受けていた。時速100キロを超えるスピードが出て危険を伴う滑降は、全5種目で唯一、公式練習への参加が義務付けられている。本番から逆算するように3日間の公式練習に臨み、結果につなげた。
4歳で横断性脊髄炎を患い、車いす生活になった。埼玉・正智深谷高ではクラスの友人らが、階段などで抱きかかえて移動するのが日常だった。風を切って滑り、自由を感じるスキーが好きだった村岡は、前回平昌大会で全5種目でメダルを獲得し、パラスポーツのシンデレラガールにのし上がった。
半年前は車いす陸上で東京パラリンピックに初参戦し、100メートルで6位入賞。夏冬「二刀流」の挑戦を経て、再び戻ってきた冬の舞台。今大会は日本選手団の主将も務める。
アルペンは北京北部の延慶での開催。「他競技と会場が離れている。一番貢献できることはメダルで勢いを付けることだと思った」と明かす。「金メダルが取れて正直、楽になった。残る種目も転んでもいいからという気持ちで、攻めた滑りをしたい」。25歳の“雪の女王”のメダルラッシュが始まった。
◇村岡桃佳(むらおか・ももか)1997年3月3日、埼玉県出身。前回平昌大会は滑降で銀、大回転で金など五つのメダルを獲得し、冬季パラは3大会連続出場。2019年春から車いす陸上に挑戦し、昨夏の東京パラ陸上女子100メートル(車いすT54)にも出場して6位だった。