「ＫＯＨＥＩ　ＵＣＨＩＭＵＲＡ　ＴＨＥ　ＦＩＮＡＬ」（１２日、東京体育館）

　体操男子で世界大会８連覇、個人総合４０連勝など数々の偉業を成し遂げた“キング”内村航平（３３）＝ジョイカル＝の現役最後の舞台となる演技会が行われた。日本体操界では初となる引退興行には、リオデジャネイロ五輪団体金メダルの白井健三氏、山室光史、加藤凌平、田中佑典、東京五輪代表の橋本大輝、萱和磨、谷川航、北園丈琉、亀山耕平の豪華メンバーが集結。選手の息づかいが聞こえるほどの観客席から近い器具の配置、ライトアップ、大画面ビジョンによる演出と一大イベントとなった。

　採点こそされないものの、１９年全日本シニア以来３年ぶりの６種目挑戦となった内村は、最初の種目の床では最後の後方伸身宙返り３回ひねりをピタリ。続くあん馬では終盤のピンチをこらえて、しっかりとまとめきった。肩に不安を抱える中、正念場のつり輪も耐えきり、跳馬では代名詞の手を交差するルーティンを披露し、ロンダートからの技を成功。平行棒も美しい倒立で魅せた。着地はすべて一歩以内でまとめた。

　現役最後のパフォーマンスとなる鉄棒では、ライトアップによる“光の道”を通って演技場所へ。次世代を担う北園、橋本の演技の後、大トリで登場。Ｈ難度のブレトシュナイダーをつかんだ後、うまく車輪につなげられなかったが、その後は雄大なコバチを成功。着地は最後は左足が後ろに一歩動き、悔しそうな表情を浮かべたが、偉大な足跡に区切りをつける有終の舞だった。

　６種目すべての演技を終えると、後輩たちに抱えられ、胴上げ。６度宙に舞った。