若隆景 恩師も驚く急成長 強い精神力で有言実行
「大相撲春場所・千秋楽」(27日、エディオンアリーナ大阪)
新関脇若隆景が優勝決定戦で平幕高安を上手出し投げで退け、初優勝を果たした。本割では若隆景が大関正代に、高安が関脇阿炎に、平幕琴ノ若が小結豊昇龍にいずれも敗れ、12勝3敗で並んだ若隆景と高安による決定戦に持ち込まれた。若隆景は双葉山以来86年ぶりの新関脇優勝を、福島県出身力士として50年ぶりの優勝で飾った。
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少年の頃から、若隆景は稽古の虫だった。学法福島高時代の恩師で相撲部の二瓶顕人監督(36)は「お兄ちゃん2人より負けず嫌い。強くなるための努力を惜しまない。稽古を休まないし、手を抜かない。やると決めたことは最後までやり通す」と意志の強さを一番の長所に挙げる。
練習は平日で午後3時半から9時まで5時間半。ほぼ毎日50~100番の相撲を取った後、ぶつかり稽古を5~15分。学校の向かいにある信夫山の坂道では、100メートルダッシュを繰り返した。どんな選手でも弱音を吐いたりつらい表情を浮かべる内容でも、若隆景からは「ほとんどそういう顔を見たことがなかった」と振り返る。
高校入学時の体重は65キロ弱。二瓶監督は「ここまで成長するとは考えていなかった」と明かす一方、大学を経てプロ入りの報告を受けた際は「三役を目指します」と宣言されたという。「もともと決めたことは徹底するタイプ。三役には必ず上がってくれるだろうと思っていた」。寡黙だが有言実行の教え子。「今の相撲が理想なのかな。磨いていってほしい」とさらなる飛躍を願った。(デイリースポーツ・藤田昌央)