山下泰裕氏“遅れた”プーチン非難を反省「未熟だった」ウクライナ侵攻激化で転換

 日本オリンピック委員会(JOC)、全日本柔道連盟の会長を務める山下泰裕氏(64)が12日、都内で取材に応じた。ロシアのウクライナ侵攻について、プーチン大統領(69)を非難する声明を11日に出したことを受け、「大変心を痛めた人間の一人として、1日も早く侵攻がやみ、これ以上犠牲者が出ないことを願っている」と語った。

 柔道愛好家でもあるプーチン氏とは、競技を通じて親交があった山下氏。前日11日、自身のホームページ上で「柔道家であるプーチン大統領によるロシア軍の侵攻のニュースを聞くにつけ、心を痛めてきました。これらの行為は柔道の精神、目的に完全に反するものです。全く容認することはできません」と非難するメッセージを発信した。

 “遅れた”発信を悔い改めての非難声明だった。2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、公的に踏み込んだ発言をしてこなかった山下氏。周囲からは「プーチン氏と交流があったんだから、何らかのメッセージを出すべきではないか」などと進言されたものの、これまではスポーツ団体のトップとして「専門外の国際政治に首を突っ込むべきではない」「プーチン氏とは柔道以外で接点がない」「JOC、全柔連としてやるべきことはウクライナから非難した難民の方の支援」などの考えから、発信を避けていたという。

 だが、今なお侵攻を受けているウクライナの凄惨(せいさん)な状況を報道で見るにつけ、自身の考えを改めたという。「昨今の(ロシア軍の)非人間的な行動の数々を見るにつけ、効果はなくてもメッセージを出すべきではないかと思った」と方針転換し、このタイミングでの非難声明になった経緯を明かした。

 約1カ月半、沈黙していたことを振り返り「自分なりのこだわり、かたくなさ、未熟さがあった。性格もあって、成果や効果があることを優先しがちだった」と反省。「たとえ効果がなくても、メッセージを出すなら早く出すべきだった」と悔いた。

 山下氏は、プーチン氏との関係性について「あくまで柔道を通しての接点しかなかった」といい、メールなどのやりとりもしたことはないと強調。また、今回の非難声明については「(プーチン氏にとって)不快なメッセージなのでたぶん届くことはないと思うが、届けてくれたらありがたい」と、個人的な関係悪化も辞さない考えであることを示した。

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