小平らしい“こだわり”と“生き方”使わなかった「引退」の2文字

 スピードスケート女子500メートルで18年平昌五輪金メダリストの小平奈緒(35)=相沢病院=が12日、長野市内で記者会見を行い、今年10月に長野県で開催予定の全日本距離別選手権の500メートルを最後に現役を引退すると発表した。

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 引退表明会見だった。しかし「引退」の2文字を使わない“こだわり”が、小平らしいとも思った。

 小平の取材は深くて複雑だ。例えば平昌五輪前は「言葉にすると縛られてしまう」と、レースの感触について話すのを嫌った。当時、記者はスケート担当になりたて。何が良かったのか、分からない。本当に困った。抽象的な表現の多さに、失礼ながら「なんではっきり言わないの?」とも思っていた。

 しかし、次第にそれは言葉を重んじる小平のこだわりだと知った。自分自身の確固たる軸があり、それらが間違って受け取られないよう自分なりの言葉を選び、表現する。小平の取材は深くて、本質を探る面白さがあった。

 栄光も挫折も経験した競技人生。平昌五輪後は「金メダリスト」の肩書にも苦しんだ。その中、小平の心を救ったのは豪雨災害のボランティアで出会った長野の人たちだったという。「地元」への思いが強くあふれたのも、小平らしい“生き方”だと思った。(デイリースポーツ・平昌、北京五輪担当・國島紗希)

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