小平奈緒が引退 10月に地元・長野で最終戦「スケートだけで人生終わりたくない」
スピードスケート女子500メートルで18年平昌五輪金メダリストの小平奈緒(35)=相沢病院=が12日、長野市内で記者会見を行い、今年10月に長野県で開催予定の全日本距離別選手権の500メートルを最後に現役を引退すると発表した。4度目の五輪となる北京大会が終わり、「スケートだけで人生を終わりたくない」と決断。現役引退後は、地域への貢献活動などを行うという。
神妙な面持ちでマイクを握った小平は、少し震えた声で「今から話すことにすごい緊張しているんですが…」と切り出した。「私、小平奈緒は、今年10月の全日本距離別選手権の500メートルを競技人生のラストレースとすることを決意致しました」。覚悟の表情で、大きな決断を発表した。
現役引退は昨夏から考えていた。「トレーニングを続ければ世界と戦えるまでパフォーマンスを持っていける」。そう感じながらも、「長い人生を考えた時に、スケートだけで人生を終わりたくない思いが本当に強くて。このぐらいがいいんじゃないかなと、自分でゴールラインを決めることにしました」と結論を出した。
五輪には過去4度出場した。特に感動を呼んだのは18年平昌大会の500メートル。金メダル獲得後に、韓国代表で銀メダルの李相花さんと抱擁したシーンだ。盟友に現役引退はまだ伝えておらず、「メールやメッセージで伝えることでもない。次会えた時にそういう話ができたら」と話した。
ラスト五輪となった北京大会は、今年1月中旬に道路で滑って右足を捻挫した影響もあり、500メートルで17位、1000メートルで10位。いまだに「言葉が見つからない」と消化しきれていないが、「人としていろんな思いを巡らせることができた」とも捉えている。
引退レースは地元・長野県を選んだ。「最後にスケートを表現したい場所だった。シーズン開幕戦ということで、次の世代にバトンタッチするのにもすごくいい時期」。引退後は、地域貢献を視野に「未定の部分もありますが、ジュニア世代の子供たちと一緒に滑る機会に恵まれるといい」と思い描いた。会見中何度も潤ませた目は、第2の人生への希望にも満ちあふれていた。