柔道 柔道五輪57キロ級銅メダルの芳田司、初挑戦の無差別全日本で殊勲2勝「楽しかった」
「柔道・全日本女子選手権」(17日、横浜武道館)
体重無差別で争われ、東京五輪女子57キロ級銅メダルの芳田司(26)=コマツ=が初出場した。初戦の1回戦で、63キロ級の高橋瑛美(仙台大)に小内刈りでの技ありで優勢勝ち。2回戦は、70キロ級の鈴木胡桃(環太平洋大)を12分56秒、相手の反則で下し、16強入りした。3回戦は78キロ超級の高橋瑠璃(山梨学院大)に8分38秒、大外刈りの有効で優勢負けしたが、重い階級の選手を相手に殊勲の2勝を挙げた。
東京五輪メダリストが執念を見せた。芳田は2階級上の相手と対戦した2回戦で、闘争心をむき出しにして内股、肩車、担ぎ技と積極的に仕掛けた。延長に入ってからも集中力を切らさず、鼻血を出しながらも気迫全開。相手に指導3つが入って粘り勝ちし「結構キツかったが、気持ちを出せた」と胸を張った。3回戦は最重量級の強敵に屈したものの、「(代表選考のために)勝たなきゃっていう大会じゃなく、自分より大きい相手とやるのは楽しかった。気づきが多かった」と満足げに笑った。
体重無差別で日本一を争う全日本選手権には「いつか出て見たい」と憧れがあったものの、これまではケガのリスクを恐れて挑戦は見送ってきた。ただ、東京五輪を終え、意を決して推薦枠での出場を決意。「ケガの可能性もあったし色々考えたが、こうして試合ができてとてもうれしい」とすがすがしい様子で、「個人戦につながる試合、自分の柔道を高める上でいい経験になった」とうなずいた。自身の階級では、今月の全日本選抜体重別選手権で精彩を欠いて敗退していただけに、「最近ずっとちっちゃくなっていたと自覚していたので、(今回は)メンタル面ですごく充実していたかな」と、24年パリ五輪への新たな戦いに向けて再浮上の予感を漂わせていた。