「陸上・日本学生個人選手権」（１７日、レモンガススタジアム平塚）

　女子５０００メートルが行われ、１万メートルで日本歴代２位の記録を持つ、不破聖衣来（ふわ・せいら、１９）＝拓大＝が、１７分３０秒４５で最下位の１２位だった。試合後に取材に応じた拓大の五十嵐利治監督が、不破が１月に負傷していたことを明かした。

　観客からすればまさかのレースだったが、不破にとっては計画通りの走りだった。不破は序盤から先頭集団につかず、１人で遅いペースでスタート。先頭集団が２０００メートルを通過した当たりでは約半周遅れ、先頭集団が残り１周になった所で周回遅れになり、最下位でゴールした。表情は崩さず、一礼して会場を去った。

　試合後に取材に応じた拓大の五十嵐監督によると、不破は今年１月の都道府県女子駅伝（京都）の後に「故障していた」という。最初に痛めた座骨は２週間で回復したが、その後、右アキレス腱の周囲炎を訴えた。この痛みがなかなか取れず、競技への影響を考え、３月まで「全く歩かせてもいなかった」。練習は４月７日のジョギングで再開し、１１日に１０００メートル、１４日に４００メートルを５本こなした。

　不破は１万メートルで世界選手権の参加標準記録を突破しており、１万メートルの日本選手権（５月７日、国立競技場）で３位以内で代表に内定する。それだけに、今大会は「全ては５月７日に勝負するため。どんなに批判やバッシングをされても私は全然大丈夫です」という、不破の強い意思もあり、実戦での「生きた練習」のために出場した。「足の痛みなくゴールできること」と、「イーブンペースでいくこと」を目標に掲げ、自分のペースで、足の痛みもなく走り終えたという。

　◆不破聖衣来（ふわ・せいら）２００３年

３月２５日、群馬県高崎氏出身。陸上の福士加代子、名馬ディープインパクトと同じ誕生日。小学校の持久走の練習で毎朝、祖父と姉と走っていたことをきっかけに陸上を始めた。高崎市立大類中時代は無敵を誇り、全中、全中クロカン、ジュニア五輪などタイトルを総なめ。健大高崎高時代もクロスカントリー日本選手権Ｕ２０で優勝した。拓大入学後は数々の駅伝の記録を塗り替えている。趣味はピアノとディズニー鑑賞。１５４センチ、３７キロ。