柔道五輪王者の大野将平、重量級相手に「真っ向勝負」4・29全日本選手権へ抱負
柔道男子73キロ級で五輪2連覇の大野将平(30)=旭化成=が21日、奈良・天理大で全日本選手権(29日、日本武道館)に向けた練習を公開した。体重無差別で日本一を争う大舞台が東京五輪以来の復帰戦となるが、重量級相手でも正面からしっかり組み合う正統派柔道でぶつかる覚悟を示し、「『柔よく剛を制す』という言葉は私の辞書にはない。大外刈り、内股をかけて、真っ向勝負をしたい」と宣言した。
公開した練習では約1時間、重量級との乱取りで、大野は自分より大きな相手ともガッチリ組み合って力勝負を貫いた。大外刈り、内股、ともえ投げ、袖つり込み腰など破壊力抜群の投げ技を打っていき、100キロ級の相手を大外刈りで投げ切る場面も披露。100キロ超級の相手には体格差でつぶされる場面もあり「(重量級との試合は)素直にやりたくない」と笑いながらも「恐怖心の中に、かすかに醍醐味(だいごみ)や楽しさが見えてくる」と、柔道ならではの戦いに向けて胸を高鳴らせた。
大野にとって5年ぶり3度目の全日本挑戦となるが「(今回が)最後かもしれない」と目の前の一戦にすべてを懸ける決意を示した。今回は初戦で90キロ級の前田宗哉と対戦し、突破すれば2回戦は100キロ超級のホープで故斉藤仁氏の次男、斉藤立(20)=国士舘大=と激突する。身長192センチ、体重160キロ超という自身の2倍以上の“怪物”との真っ向勝負には全柔道ファンの注目が集まる。大野は「勝ち上がることはほぼ不可能だが、(重量級が絶対有利という)事実に少しでもあらがいたい」と決意を込めた。