五輪2連覇の大野将平、重量級に“真っ向勝負”玉砕も観客喝采「柔よく剛を制すは幻想」

 1回戦で前田宗哉(手前)に敗れた大野将平(代表撮影)
 前田宗哉(右)に攻められる大野将平(代表撮影)
 前田宗哉(左)に有効を奪われる大野将平(代表撮影)
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 「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)

 体重無差別で争われ、男子73キロ級五輪2連覇の大野将平(30)=旭化成=が5年ぶり3度目の出場を果たした。1回戦で、90キロ級の前田宗哉(自衛隊)と対戦。真っ正面から組み合う力勝負を繰り広げたが、大外刈りで有効1つを取られて敗れた。

 惜しくも初戦敗退となったが、五輪王者に大きな拍手が降り注いだ。大野は大会前に「大外刈りを打ち合って、真っ向勝負をしたい」と予告していたとおり、じっくりと釣り手と引き手を持って力勝負を展開。圧倒的に体格差で劣るにもかかわらず、大野はお互いの力が伝わりやすい右相四つで奥襟を持って大外刈りを仕掛けると、惜しい場面をつくって武道館をドッと湧かせた。ただ、この戦い方はもろ刃の剣。逆に前田の大外刈りを食らい、最後は体の力でねじ伏せられて「有効」を奪われた。4分間で何度も見せ場をつくったものの、勝つことはできなかった。

 敗れたものの、重量級相手に異例の正攻法を演じた大野は「ノーガードでやらせていただいた。勝ち負けを超越したものを観客のみなさんと共有できたらいいなという思いで、足を止めて打ち合わせていただいた」と汗を拭った。ともえ投げや袖つり込み腰なども放ったが、体格差を克服することはできず「体重差で厳しい戦いは理解していた。もっとやりたいことがあったが、4分間で表現しきれなかった悔いはある」と首をひねった。

 現行ルールでは足取りや旗判定がなくなったことで、軽量級が勝つことは以前よりも至難。「自分自身の限界を感じましたけどね。『柔よく剛を制す』というのは幻想に過ぎない」と難しさを口にしつつ、「私がやりたかったのは軽量級や重量級に関係なく、非現実的な勝負。やりたいことはできたんじゃないかな」と受け止めた。

 東京五輪後初の実戦となった全日本選手権を終え、今後については「なかなか声を大にして『パリ五輪を目指します』と言うことはできないが、久しぶりに皆さんの前で柔道をすることができた。この(試合を終えた)感性を持ち帰って、どういった動きを自分の心が見せるのか、自分自身も期待しながら待ちたいです」と話した。

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