五輪王者・高藤直寿ヒヤリ、重量級に投げられ脳振とう気味「背中ついてたら死んでたかも」
「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)
体重無差別で争われ、東京五輪男子60キロ級金メダルの高藤直寿(28)=パーク24=が推薦枠で4年ぶり2度目の出場を果たした。1回戦で、90キロ級の田中大勝(アドヴィックス)と対戦。1分12秒、腕ひしぎ十字固めで一本負けした。
身長160センチ、体重約66キロで臨んだ最軽量級王者だが、177センチ、90キロの相手に圧倒的な体格差を見せつけられた。高藤は開始50秒、力ずくで上に持ち上げられると、強烈な裏投げでたたきつけられて「技あり」。さらに、そこから腕ひしぎ十字固めで腕を伸ばされて「一本」で敗れた。
初戦敗退という結果に「いや~悔しいですね」と開口一番。「軽量級の戦いを出し切って、やり切って戦いたかった」と唇をかんだ。また、強烈な裏投げを食らった際に体側部を畳にたたきつけられたが、軽く脳振とう気味になったといい、「背中をつかずにひねったが、脳振とう気味。(体側ではなく)背中をついていたら死んでいたかもしれない」と重量級との戦いのリスクに青ざめていた。
初戦で敗れはしたが、最軽量級の五輪金メダリストの挑戦に、観客からは惜しみない拍手が贈られた。「もう一度世界選手権、五輪で優勝して(推薦出場で)全日本選手権に戻ってきて、次こそは1勝したい。戻ってきます」と再挑戦に意欲。「まだまだ出し切れなかったので。もっとやれると思うし、もっとやれるようにもっと練習したい」と雪辱を誓った。