なぜ起きた?カメラクルー事故「暗黙の了解」破れ走路横切り「NHKに信頼感あった」
日本陸連とNHKは8日、前日に国立競技場で行われた日本選手権1万メートル男子で、テレビカメラクルーがトラックのコース上に出て、カメラコードに周回遅れの選手が引っ掛かり、走路を妨害したことについて謝罪した。
日本陸連の石井事務局次長は「このような事態はあってはならない。主催者として心よりお詫び申し上げます」と、謝罪した。
レースは優勝した相沢晃ら上位選手のゴール後、レースが終わっていないにも関わらず、撮影しようとした中継のテレビカメラクルーがトラック内側のインフィールドからコース上に出てきてしまい、周回遅れだった三田真司(サンベルクス)の首付近の上半身にコードが引っ掛かり、バランスを崩したほか、他の4選手の走路を妨害した。
日本陸連の石井事務局次長は、通常インフィールドから走路に出て撮影に行くことがあるのか?との問いに「レースが終わっていたり、レース中でも選手と選手の距離が空いていて安全に通れる状況であれば、クルーの方々が内側から外に出ることはあるかなと思いますが、基本的にはレース中に横切ることはテレビの中継局であっても、スチールのカメラマンであっても、基本的にはやりませんよねというのが暗黙の了解というとあれですが、当然だと思う。普通はないんじゃないかと思う」と、説明。ただ、「細かい安全確認について今回もお願いしますというのを、今回でいえばNHKさんと詰めていたかというと、そこまでは主催者としてできていなかったという反省は持っている」。長く日本選手権を中継しているNHKだけに「毎年やっていただいている非常にご経験の多い局でもあるので、そこについてはNHKさんの中できちんとやっていただいているという信頼感があった。あえて今回直前にこういうことはないですよね、絶対にやらないでくださいね、という念押しするということはしていなかった」と話し、「こういう問題について毎回毎回確認が必要だったんじゃないかという話はしている」と、再発防止に向け、改善の必要性を口にした。
NHKの辻村和人報道局スポーツセンター長もこの日、事情説明と謝罪に訪れ、取材対応。「走路を妨げないという基本的なことが守られていなかった。深くお詫び申し上げます」と、頭を下げた。走路を妨害したのはカメラマンとアンテナを持つスタッフの2人。長さ数メートルのケーブルで繋がっており、このケーブルが選手に引っ掛かった。委託の外部プロダクションのカメラマンで、陸上撮影の経験もあったという。NHKは現在、経緯について調査を行っている。
三田は寮に戻った後、首に痛みを訴えて病院で検査。異常はなかったというが、今も痛みがあり、静養しているという。