トランポリン女王の森ひかる、寿司屋で人生初バイト経て現役続行「色んな経験できた」
トランポリン19年世界女王で東京五輪代表の森ひかる(22)が9日、都内で会見し、TOKIOインカラミと所属契約を結んだことを発表した。昨夏の東京五輪では13位で終わり、競技を離れて人生初のアルバイトも経験したが、24年パリ五輪も視野に競技続行を決意。「東京五輪ではダメだったが、トランポリンを続けて、復活とか勝ち上がっていく姿で少しでも(人の)心を動かしていけたらいい」と決意を新たにした。
現役続行への大きなきっかけの1つになったのが、幼少期からトランポリン漬けだった森にとって一度やってみたかったというアルバイトだった。
メダルも期待された東京五輪は予選で敗退し「思っていた以上に落ち込み、心に大きなキズをつくってしまった」。11月の世界選手権後にいったん競技から離れ、アルバイト募集に応募。最初に申し込んだピザ屋は落ちたものの、金沢市内の回転寿司店で採用され、時給900円(土日は950円)で働き、レジ打ちや皿のカウント、料理の提供などをしていた。勤務中は帽子やマスクをしていたが、「トランポリンの森選手ですよね?」と声を掛けられることもあった。
金沢学院大を卒業する今年3月頃まで勤務を続けていたといい、「まかないもあっておいしかった。すごくおいしいお寿司屋さんなので、また行きたいです」と笑顔で振り返った。それまでは引退も選択肢に入れていたが、「初めて(競技生活への)罪悪感なくたくさん休んで、遊んで、人生で初めてのアルバイトもした。色んなことを経験できたことで、やっぱりトランポリンは楽しいな、選手は素敵でありがたい立場だなと感じることができた」と、改めて競技への意欲が湧いてきた。
今後は東京に拠点を置きながら競技を続ける。事実上のプロ転向で再出発した元世界女王は「今までは全くパリを見ることができなかったが、こうしてたくさんの方にサポートしてもらい、少しずつ(24年パリ五輪が)視野にも入っている。(目標として)やっぱり一番いいのは金メダル」と決意を込めた。