業師・宇良が驚異の粘り星 絶体絶命のピンチ左足一本耐えた 3敗死守でV戦線残る

 土俵際で逆転し突き落としで貴景勝(右)を破る宇良(撮影・金田祐二、斉藤直己)
 土俵際で逆転し突き落としで貴景勝(右)を破る宇良(撮影・金田祐二、斉藤直己)
 土俵際で逆転し突き落としで貴景勝(右)を破る宇良(撮影・金田祐二、斉藤直己)
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 「大相撲夏場所・12日目」(19日、両国国技館)

 人気業師の平幕宇良が大関貴景勝を破り、3敗を守った。土俵際で驚異の粘りを見せて逆転。館内を大きく沸かせる相撲で、トップに1差で食らいついた。平幕隆の勝は一山本を押し出して10勝2敗とし、単独トップをキープした。横綱照ノ富士は関脇若隆景を下して3敗を堅守。大関御嶽海は関脇阿炎に押し出され、7敗目を喫した。優勝争いは2敗の隆の勝を、照ノ富士、宇良、平幕佐田の海の3人が3敗で追う。

 信じられない身体能力で、宇良がV戦線に残った。貴景勝ののど輪に押し込まれた土俵際。大きくのけ反りながら左に体をかわしたが、完全にバランスを失いクルリと半回転。誰もが勝負あったと思った瞬間だ。横向きになりながら、なんともう一度、左足一本でピョンと土俵を蹴る。跳ぶように背中から落ちる寸前、大関の足が俵を踏み出していた。

 物言いはついたものの軍配通りに勝ち名乗りを受け、絶体絶命の状況からの大逆転。真骨頂ともいえる相撲に、観客もこの日一番の拍手で称賛した。取組の内容には、普段通り「わからないです」を連発した宇良だが、大関撃破は「勝てて良かったです」と素直に喜んだ。

 関学大時代から、大技・居反りの名手として名を売った。相撲部では、小兵ながらベンチプレスですでに160キロの重さを上げていた逸話が後輩たちに語り継がれている。抜群の運動神経が、普通の力士では難しいアクロバティックな相撲も可能にしている。

 3敗でトップを1差追走。土俵下で見守った佐渡ケ獄審判部長(元関脇琴ノ若)も「あれが本来の宇良の持ち味ですから」と評価した。それでも、宇良は「現実味はないです。トップじゃないし、1つ上の人が負けることを祈ってやっているわけじゃない。関係ないです」と、優勝争いには無関心を装った。残りは3日。「自分は何も考えてないので」とうそぶく業師が、ひょうひょうと賜杯をさらいにいく。

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