【記者の眼】玉井陸斗 目を見張る下半身強化 15歳エースの使命感に日本初五輪メダルへ

 一回り大きくなった体で練習にも熱が入る玉井陸斗(撮影・神子素慎一)
 週3回に増やしたウエイトトレーニングで汗を流す
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 日本飛び込みの歴史104年の悲願を15歳が背負う。東京五輪男子高飛び込みで7位入賞した玉井陸斗(JSS宝塚)が2年後の2024年パリ五輪を目指し、筋肉を鍛え上げている。日本人が五輪の飛び込み競技に初参戦したのは1920年。最高は4位で表彰台はまだない。24歳の記者はかつて飛び込み選手で玉井とは切磋琢磨(せっさたくま)した。幼少期から見てきた天性のセンスにパワーも備えた“玉ちゃん”にメダル獲得を託す。

 玉井がさらなる進化を遂げている。22日に兵庫県宝塚市のJSS宝塚で練習を公開。14歳で初出場した昨夏の東京五輪より明らかにジャンプが高くなっていた。体つきも一回り大きく、特に下半身の筋肉に目を見張った。

 24年パリ五輪は日本史上初のメダル獲得を目標に、高飛び込みと板飛び込みの“二刀流”に挑戦する。東京五輪では海外のトップ選手と体格の差を痛感。「体がごつくて、宙返りも入水もうまい。キレ(が違う)」。月2回だったウエート練習を、週3回に増やし、主に太ももの強化に明け暮れている。

 “二刀流”を目指す上で始めた強化だが、本職の高飛び込みにも、いい影響が表れている。ジャンプ力が高くなったことで、技の回り終わる位置も高くなったことだ。余裕が生まれ、水しぶきの立たないノースプラッシュの入水姿勢をいち早く作ることが可能となった。演技の安定性も増し、精度も上がった。

 実際、東京五輪で回転不足により45・90点と失敗した307C(前逆宙返り3回転半抱え型)は、2月の選考会で91・80点もの好スコアをマーク。玉井自身も「高さが出るようになった。余裕があると入水技術も自然と上がった」と、確かな手応えを実感する。

 高飛び込みのベストスコアは528・80点。16年リオデジャネイロ五輪銅メダル相当にあたる。ここに、今の強化が上積みされれば、パリ五輪でのメダル獲得は近づく。馬淵崇英コーチも「飛び込み界初のメダルは陸斗に懸けたい」と最大の期待を寄せる。記者自身、玉井が飛び込みを始めた小1から成長を見てきた。夢を後輩に託したい。

 日本が五輪の飛び込み競技に初参戦したのは1920年。「五輪メダル第1号の称号が大きい。やるしかない気持ちが強い」と玉井。14歳で夢見た目標は、日本のエースとして使命感へと変わった。104年の悲願達成へ、15歳“玉ちゃん”の伸びしろは計りしれない。(デイリースポーツ・谷凌弥)

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