若きライバル台頭、力に変えて圧巻V 強さ光ったロコ、4年後も譲らぬ覚悟「まだ強くなれる」
「カーリング・日本選手権」(29日、アドヴィックス常呂カーリングホール)
女子決勝が行われ、北京五輪銀メダルチーム、ロコ・ソラーレが中部電力を7-3で下し、2年ぶり3度目の優勝を飾った。スキップの藤沢は中部電力時代も合わせると、女子最多タイの7度目の優勝となった。
いつも通りの笑顔のプレーで示す強さには、貫禄が漂った。長かった今季を優勝という形で締めくくったロコ。メダリストの重圧に苦しんだ18年平昌五輪後とは違う姿だった。男子のコンサドーレのスキップとして3連覇を経験している松村雄太(現TM軽井沢)をコーチとして迎え、新たな刺激を入れた。「もともと今季は五輪にピーキングを合わせるように考えていた。正直、日本選手権へのモチベーションなかなか上がらない時期はあったけど、雄太(松村)に新しい課題をもらって、やりきりたい課題をもって、前向きに戦えた」(藤沢)。そして、今大会掲げたテーマは「must have fun(絶対に楽しめ)」。吉田知那美の元気のいい声が響き、吉田夕梨花、鈴木夕湖の“クレイジースイーパーズ”は力強く氷を掃いた。藤沢はドローショットに苦しんだ部分はあったが、最後は仲間を信じ、投げ切った。終わってみれば、1次リーグも含めて、わずか1敗。地元常呂で圧倒的なチーム力をみせつけ、女王の座を奪還した。
今大会は平均年齢19歳の北海道銀行が1次リーグで旋風を巻き起こし、ロコに次ぐ2位突破。1次リーグ、プレーオフと2度戦い、いずれも勝利したが、若い力の台頭を肌で感じた。藤沢は「そうですね。北海道銀行さんをはじめ若い人達がすごく上手になっていて。同じ年齢の時を思うと私たちの方が下手だった。(世界ジュニアを優勝した)軽井沢ジュニアも本当にうまくて、出れないのがもったいないぐらい、ジュニアのレベルが上がっている」と目を細めつつ、「私たちも先輩達がそうしてくれていたように、ジュニアの世代にいい刺激を与えられていると思う。年齢関係なく常に高め合うチーム同士でありたいと思います」と、まだまだ立ちはだかる覚悟を示した。
4年後のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に吉田知は「ロコ・ソラーレとして強みは、4年の時間がどう過ぎていくかを全員が知っていること。本当に1年1年積み重ねることでしか、4年はやってこない。どれだけ濃く、どれだけ強く、どれだけ成長していけるか。1年をどう過ごしていけるかの積み重ねでみえてくるものだと思う」と、うなずいた。その向上心は底を見せない。フィフスの石崎は言った。「チームとしてまだ強くなれるんだなという可能性を感じた。すごくいい日本選手権だったなと思います」。ロコの時代はまだまだ終わりそうにない。