JOC山下会長「現在のままでは厳しい」2030札幌五輪招致の支持率に危機感
日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(65)が14日、都内で定例会見を行った。2030年の招致を目指している札幌冬季五輪・パラリンピックで、札幌市民の賛意が伸び悩んでいる現状について「現在の支持率のままでは厳しい」と危機感を示した。
2030札幌大会招致に向けては、札幌市が3月に市民への意向調査を行い、賛成が過半数となった一方で、反対も約3割となっていた。大会招致への機運醸成を目的に発足した「プロモーション委員会」で2回目の会合が今月に行われたが、国際オリンピック委員会(IOC)の渡辺守成氏からは「(開催候補地の)他都市に比べて機運醸成、支持率が低い。危機感が足りないのではないか」などと指摘があった。
これらを受け、山下氏は「機運醸成は招致のカギを握るものと思っている。(市民の)支持率に関しては厳しい認識を持っていることは、渡辺委員と同じ」と同調。「(市民の)かなりの方が(五輪招致を)否定していることは重要視しないといけない。2030の招致が成功するかどうかは、支持率をつかめるかにかかっている。機運醸成が非常に大きなポイントになるだろう」と語った。
また、大会経費の膨張やコロナ禍下での開催など、否定的な世論が多かった昨夏の東京大会を踏まえ、「(IOCが目指す今後の五輪は)大会開催がその都市の発展、町づくりに強く関わっていくことが求められている。私のイメージでそれまでの(過去の)五輪は豪華、華やかで国の威信を懸けたものだったが、(今後は)五輪のために新しく施設をつくることは好ましくない」と既存の施設を活用する方針を強調。「東京2020で国民の皆さんがネガティブに感じたところは(今後)IOCが目指す五輪とも絡んでいる。われわれが目指す札幌2030の招致の在り方も、IOCが求めている五輪の姿も、(市民や国民にも)正しく理解していただくことが必要」と、社会に向けた発信力を高めていく姿勢を示した。