現役区切りの杉原が圧巻床1位通過「杉原愛子らしく」1日延びた“ラストダンス”
「体操・全日本種目別選手権」(18日、東京体育館)
男子6種目、女子4種目の予選が行われ、女子の東京五輪代表で、今大会限りで現役生活に区切りをつけるリオデジャネイロ、東京五輪代表の杉原愛子(22)=武庫川女大=が床で13・700点をマークし、1位で19日の決勝進出を決めた。平均台は12・033点の14位で予選落ちとなった。
“ラストダンス”はまだ終わらない。ピンクのレオタード、トレードマークの笑顔とともに床に挑んだ杉原は、「007」のテーマなどの音楽にのり、フロアの上で躍動。鋭いひねり技を次々と繰り出し、着地もしっかり決めていった。フィニッシュポーズを解くと、力強く右拳を突き上げてガッツポーズ。「観客の皆さんが手拍子をくれて、最後のダブルに行く前からすごく気持ちよかった。決まった時はめっちゃうれしかって、終わりじゃないと思ったけど、涙が出そうになりました」と、振り返った。思いを込めた演技はこの日トップの評価を得たが「順位や点数は気にしてなかった。杉原愛子を応援してくれた家族やコーチやチームメート、たくさんのファンのみなさんのおかげ」と、笑顔で振り返った。
最初に挑んだ平均台で得点が伸びず、今日が最後になることも頭をよぎった。床の前に最後の演技用に用意していた赤のレオタードに着替えようかとも考えたが、コーチから「明日もある」と言われ、覚悟を決めた。「平均台をあかんかったってとらえるんじゃなくて、いい準備運動ができたと思って」と、笑いとばし、会心の演技につなげた。
“現役最後”の日は、1日延びた。予選の内容から有終Vの可能性すら感じさせるが、「優勝する可能性は低いと思う。結果は気にせずに、もっともっといい演技をしたい。観客の皆さんが一体になれるように、杉原愛子らしく楽しく、演技にぶつけて、恩返しできたら」。長く体操ニッポン女子を明るく照らし出してきた元気娘が万感の舞を披露する。