「レスリング・全日本選抜選手権」（１８日、駒沢体育館）

　女子５３キロ級決勝で、２１年世界選手権金メダルの藤波朱理（１８）＝日体大＝が、元世界女王の奥野春菜（自衛隊）を４－０で下して２連覇を果たし、世界選手権（９月・ベオグラード）代表を決めた。今大会で３勝を挙げ、中学２年から続く連勝記録を１００まで伸ばした。吉田沙保里の２０６連勝（団体戦除く）、伊調馨の１８９連勝（不戦敗除く）に続いて、日本女子史上３人目となる「１００連勝」の大台に乗せた。

　１８歳のパリ五輪の星が怪物的な強さを発揮した。長い手足を生かした攻撃を武器に、初戦をわずか１０１秒でフォール勝ちすると、準決勝も１０５秒でテクニカルフォールと圧倒。決勝も元世界女王を完封し、３試合を無失点で制覇。同階級で東京五輪金メダルの志土地（旧姓・向田）真優（ジェイテクト）は今大会５５キロ級（五輪非実施）に出場しているため対戦はなかったが、現時点での国内最強を証明した。

　５年間続いている連勝記録も史上３人目の大台に乗せたものの、将来を見据える１８歳にとっては通過点。「（周りに）言ってもらうことも多いが、自分の中では連勝は過去のこと」と淡々と受け止め、「大事なのは（今）勝つことなので。マットに上がれば（過去の連勝記録は）関係ない。目の前の大会を１つずつ勝ちたい」と話した。

　高校３年で初出場した昨年の世界選手権では全４試合を無失点でテクニカルフォール勝ちし、世界を震撼させた“金の卵”。今春、地元三重を離れて日体大に入学し、父・俊一コーチや伊調馨の指導を受けながら腕を磨いている。１２月からは２４年パリ五輪代表の選考が懸かる大会が始まるだけに「（９月の）世界選手権でしっかり２連覇して、この先のパリ五輪につなげていきたい」と力を込めた。

　◆藤波　朱理（ふじなみ・あかり）２００３年１１月１１日、三重県四日市市出身。１６４センチ。父・俊一さんの影響で４歳からレスリングを始めた。中学２年の全国大会決勝で敗れて以来、無敗を続けている。三重・いなべ総合学園高時代はインターハイで１９年、２１年（２０年は中止）を制覇。２１年世界選手権で初優勝。同年度に三重県勢で活躍したホープに贈られる「吉田沙保里大賞」に選ばれた。趣味は食べること。好きなアスリートは柔道の阿部詩。兄・勇飛（２６）は１７年世界選手権男子フリースタイル７０キロ級銅メダリスト。