引退の亀山耕平、あん馬スペシャリストは「壺作り職人」 内村世代彩ったいぶし銀
体操男子で13年世界選手権(アントワープ)のあん馬で金メダルを獲得した亀山耕平(33)=徳洲会=が19日、全日本種目別選手権が行われた東京体育館で引退セレモニーを行い、競技終了後に引退会見を行った。
あん馬のスペシャリストとして長年活躍し、昨夏の東京五輪では5位入賞。引退を決断した経緯については「(東京)五輪に出れたこと。五輪を過ごした中で、もうあれ以上に競技者としてなることはないと、直感で感じた。その時がきっかけですね。時間が立てばと、考えながら今まで過ごしてきましたけど、でも、もう無理です。代表選考会を見ても、もう自分の場所はないなと思いました」と、晴れやかな表情で話した。
6種目をこなせるオールラウンダーが重視される日本体操界の中で、スペシャリストとして存在感をみせてきた。あん馬の魅力を問われると、悩みながら言葉を紡いだ。「う~ん、本当にすごく、とても難しい質問だなと。最近いつもお伝えしているのは、見る人が好きに感じてくれれば、それが1番見て欲しいところになる。見たいようにみて欲しい。本当に壺を作る職人のように作り続けて、いい作品ができたと思って、それを品評会に持っていって始まるみたいな感じ。その壺を見た時に“こういうところがいいよね、ここカッコいいよね”って思ってくれれれば。定義づけはできない。ただ、こだわることは壺作り職人にとっては大事なことなんだと学んだ」と、うなずいた。
今後は地元の仙台で体操の普及につとめていく。同世代には“絶対王者”内村航平や、リオ五輪団体金メダルメンバーの山室光史がいた。「同期が凄すぎて諦めようと思ったし、辞めようとも思った。でも、諦めさせてくれたおかげであん馬1本に絞れてたと言えなくもない。あまりにも眩しすぎた。僕以外が眩しい世代だった」と笑った。ただ、亀山が放ったいぶし銀の光もまた、確かに体操ニッポンの一時代を彩った。