乾友紀子 日本初ソロ金 海外メディア「信じられない」新たな歴史作った

 「競泳・世界選手権」(18日、ブダペスト)

 アーティスティックスイミング(AS)のソロ・テクニカルルーティン(TR)決勝は31歳の乾友紀子(井村ク)が92・8662点で制し、ソロ種目で日本勢初の金メダルを獲得した。

 会心の演技を終えると屋外会場は大歓声に包まれた。海外メディアからは「信じられない」と感嘆の声も。強豪ロシア不在のASソロTRで31歳の乾が円熟の泳ぎを披露。「ソロでの金メダルの価値はすごくすごくあると思う。それに恥じない演技ができた」。ソロコーチの井村氏が要求した「感情のある脚」を体現し、新たな歴史をつくった。

 世界平和を願って命燃え尽きる「鳳凰(ほうおう)」がテーマ。2015、17年世界選手権のソロ・フリールーティンでも用いた雅楽調の曲に合わせて時に力強く、時に柔らかく脚技を繰り出した。変幻自在の技で情感たっぷりに演じ「出し切った」と完全燃焼した。

 かつて五輪種目だったソロについて、井村氏は「自分をがっと押し出す。日本人の一番不得意な部分」が必要だと指摘する。あえて「個人での評価」を求めて困難な道を歩む乾の心意気を買い、東京五輪後はつきっきりで指導して二人三脚で突き詰めてきた。

 ソロ世界一に3度輝いたフランスのドデュさんは「動きが全くぶれない。別世界の住人」と称賛。演技後は海外関係者からひっきりなしの祝福も受けた。ソリストとして世界に認められた姿が、そこにあった。

 ◆乾 友紀子(いぬい・ゆきこ)12年ロンドン大会から五輪に3大会連続で出場し、16年リオデジャネイロ五輪はチーム、デュエットとも銅メダル。東京五輪はともに4位だった。19年の世界選手権ではソロの2種目で3位。立命大出身、井村ク。170センチ、57キロ。31歳。滋賀県出身。

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