AS・乾友紀子 日本勢初の2冠 休む間もなく複雑な動きを続ける演目も「出し切った」
「競泳・世界選手権」(22日、ブダペスト)
競泳の決勝で男子200メートル個人メドレーは前回王者の瀬戸大也(28)=TEAM DAIYA=が1分56秒22で銅メダルを獲得した。世界選手権の表彰台は13年大会から5大会連続。アーティスティックスイミング(AS)のソロ・フリールーティン(FR)決勝は乾友紀子(31)=井村ク=が95・3667点で制し、テクニカルルーティン(TR)との2冠を果たした。ASの日本勢で複数の金メダルは史上初の快挙となった。
猛練習で仕上げてきたソロFRも見事にやり切った。乾は息つく間もない激しいプログラムをきっちりと完遂し、TRに続いて頂点に立った。強豪ロシア勢が不在だったことも追い風となり、ASの日本勢では初の2冠に輝いた。「最後まで自分の思った通りに泳げた」。万感の思いが去来した。
予選後、タフな乾が珍しく息をつきながら「全部がきつい」と漏らした。「大蛇(おろち)」をテーマとする演目は、休む間もなく複雑な動きを続けるのが特徴だ。井村雅代ソロコーチが「水の中のワンキック、ワンストロークまで全部計算してつくっている」という作品を丁寧に演じ、乾は「出し切った」。95点台の高得点を見た井村氏は、高々と両手を突き上げた。
食事休憩を挟みながら午前7時から日付が変わるまで続ける普段の練習で振り付けを体に染みこませた。過呼吸で手足が震えたこともある。厳しい鍛錬は世界一になるため。その思いを結実させた。