水沼尚輝「メーク・ヒストリーができた」男子100mバタフライ日本勢初の銀
「競泳・世界選手権」(24日、ブダペスト)
男子100メートルバタフライ決勝で水沼尚輝(25)=新潟医療福祉大職=が50秒94で銀メダルを獲得し、この種目の日本勢で五輪と世界選手権を通じて初の表彰台に立った。女子50メートル平泳ぎ準決勝の青木玲緒樹(27)=ミズノ=は全体11位で落選した。アーティスティックスイミング(AS)のチーム・フリールーティン(FR)決勝は、日本(藤井、比嘉、木島、佐藤友、鈴木、柳沢、安永、吉田萌)が93・1333点で3位となった。今大会のASで日本のメダルは過去最多に並ぶ6個目となった。
磨き上げた得意の後半が銀メダルに結実した。水沼は大会スローガンを引き合いに出し「メーク・ヒストリー(歴史をつくる)ができた」と声を弾ませた。日本の競泳男子が初めて上がる100メートルバタフライの表彰台。その高みからの光景を目に焼き付けた。
スプリント力が必要なこの種目で日本勢はなかなか活躍できなかった。下山好充コーチは「速筋が多いタイプではない。スプリント気質ではない」と評する。前半からのスピード勝負では分が悪い。だからこそ後半に懸けた。
準決勝で敗れた東京五輪後、目を付けたのはターン後の15メートル。海外勢を参考にドルフィンキックを打つタイミングを早め、回数を2、3回増やしたことでタイムが向上した。この日は最後尾で折り返してから一気に浮上。ゴール直前で先行する選手を抜き去った。後半50メートルのタイムは目標とする26秒台で、優勝したミラクに続く2番目の速さだった。
日本勢の実績が乏しく、注目度も薄かった種目に「強い気持ちを持ってやり続けてきた。込み上げてしまった」と思わず涙をあふれさせた。悲願の表彰台に立ち、さらに上も見据える。ミラクに「次は勝てるように頑張る」と宣戦布告した。
◆水沼 尚輝(みずぬま・なおき)1996年12月13日生まれ、栃木県出身。25歳。栃木・作新学院から新潟医療福祉大に進み、現在は新潟医療福祉大に職員として所属。世界選手権は19年に初出場。男子100メートルバタフライで東京五輪は準決勝敗退。今年3月に日本記録を樹立し、今大会の準決勝でさらに0秒05更新する50秒81をマークした。180センチ、84キロ。