武道館どよめき!90キロ村尾が170キロ斉藤にミラクル勝利 康生氏興奮「歴史に残る」
「柔道・全日本学生優勝大会」(26日、日本武道館)
男子は体重無差別の7人制団体戦で争われ、東海大が6大会連続の優勝を果たした。決勝は、全日本王者の斉藤立(3年)を擁する国士舘大と対戦。本戦では1-1で決着がつかず、代表戦で90キロ級の村尾三四郎(4年)が、100キロ超級の斉藤との16分18秒の激闘の末、上四方固めで殊勲の一本勝ちを収めた。敗れた国士舘大は2007年大会以来の制覇はならなかった。
東海大主将の村尾が大仕事をやってのけた。7人の本戦で決着がつかず、代表戦で全日本王者の斉藤と激突。自身の2倍近い体重約170キロの斉藤を相手に苦戦が予想されたが、左相四つで組み合いながら技をいなし、相手のスタミナが切れてきた後半に勝負を懸けた。最後は前のめりに掛け潰れた斉藤の隙を見逃さず、絞めにいきながら抑え込んで殊勲の勝利。ホープ同士による“夢の対決”のまさかの結末に、武道館はどよめきに包まれた。
エース同士による学生柔道史に残る名勝負を制した殊勲のヒーローは「(斉藤は)本当に強くてキツい試合だった。組んだ瞬間、(大技)一発で投げることはできないと感じた。(スタミナを)削っていく展開しか勝ち目はなかった」と汗を拭い、「(今後もこの試合は)忘れられないと思う。やりきった」と胸を張った。
東海大の上水研一朗監督は「こんなことになるなんて1%も思っていなかった。夢物語」と驚いた様子。代表戦に突入した時点で、相手は全日本王者の斉藤とあって「私は諦めの境地だった」と吐露しつつ、「(村尾)三四郎は用意周到に準備して、勝ちにいった。こんな(すごい)体験ができるなんて。三四郎一人で(形勢を)ひっくり返した。大した男だ」と最敬礼していた。
また、日本男子強化副委員長の井上康生氏は「歴史に残る試合だったのでは。毎年色んなドラマが生まれるが、(今回は特に)しびれた」と興奮冷めやらぬ様子。柔道ファンに面白さを発信する立場としても「海外の団体戦にもない、日本の団体戦の面白さ。90キロの選手が170キロの選手に勝つ世界。この魅力を感じ取ってもらいたい」と語った。