東京五輪組織委がきょう解散 橋本会長「困難ばかり」武藤事務総長「心折れる局面も」
6月で解散する東京五輪・パラリンピック組織委員会が30日、最後の日を迎えた。橋本聖子会長は東京都庁で職員に向けた最後のあいさつを行い、「8年半の組織委員会(の活動)は今日で解散の日となる。本当に長い間、大会の開催を信じて、最後まで努力いただいた皆さんに改めて心から感謝を申し上げます」とねぎらった。
組織委は14年1月の発足し、約8年半の活動に幕を閉じる。新型コロナウイルス感染拡大による史上初の大会延期や、暑熱対策によるマラソン・競歩の札幌移転、舌禍問題による森喜朗前会長の辞任劇など、さまざまな問題も噴出したが、昨夏ほぼ無観客で大会を開催した。
橋本会長は「大変困難な状況ばかりが思い出されるかと思う。史上初の大会延期、コロナ禍をどのように乗り越えるか。大会の素晴らしい意義と価値を後世にどう残していくか。日々考えながら、乗り越えていただいた」と振り返り、「この日を迎え、私自身としては『よかったな』『みなさんありがとうございます』という気持ちと、何かとっても寂しい気持ちと、非常に複雑な思い」と感慨深げ。「この東京大会はあらゆることがあったが、世界の皆さんに『あれだけの困難でもやっぱり日本だから(大会を)やれたんだ』と大きな評価をいただいたことは、職員の皆さんの日々努力のたまものだと思っております」と感謝を込めた。
また、職員44人の発足当時から、約7000人のピーク時、そして163人での解散と、組織委の一部始終を見届けた武藤敏郎事務総長は「約8年半、本当に山あり谷ありの長い道のりだったと思う。非常に感慨深いものがあります」と振り返り、「ここまで決して順調なものではなかった。失敗もあったし、さまざまな批判もあった。正直なところ心が折れそうな局面もあったかと思うが、皆さん1人1人がそれぞれの任務を果たした結果、本日をもって解散することができる」と職員をねぎらった。
新型コロナ感染拡大による延期もあったが、組織委は解散を前に最終的な大会経費が総額1兆4238億円になったことを報告。昨年12月に示した見通しからは292億円圧縮された。