飛び込み・15歳玉井が史上初の銀「めちゃくちゃうれしい」強敵中国崩す快挙に確かな自信
「水泳・世界選手権」(3日、ブダペスト)
15歳の少年が歴史を塗り替えた。男子高飛び込み決勝が行われ、昨夏の東京五輪同種目で7位の玉井陸斗(15)=JSS宝塚/須磨学園=が488・00点で同種目史上初の銀メダル。世界選手権の個人種目表彰台は、01年福岡大会の同3メートル板飛び込みで銅メダルの寺内健(ミキハウス)以来、21年ぶり2度目の快挙。さらに史上最年少での達成となった。
「あんまり状況は理解できていないが、めちゃくちゃうれしい。今まで寺内選手の記録を塗り替えてきたが、これ以上にないくらい、うれしい記録を塗り替えられたかなと思う」。
玉井が水の中に消えるたびに会場が揺れる。1本目の407C(後ろ踏み切り前宙返り3回転半抱え型)を決めて波に乗ると、大技109C(前宙返り4回転半抱え型)では審判員から平均9点の評価を得る完璧な演技。99・90点の高得点をたたき出した。
4位で迎えた最終6本目も難なく決め、強豪中国の一角を崩した。表彰台を確信すると、何度も拳を揺らしてガッツポーズ。「勝てるはずのない存在だったが、中国選手1人に勝てたのは今後の自信につながった」と会心の演技に胸を張った。
表彰式後は、馬淵崇英コーチの首にメダルをかけ、馬淵コーチは思わず涙を流す場面も見られた。
玉井が14歳で出場した昨夏の東京五輪。初出場ながら7位入賞を果たしたが、「入水の技術や思い切りやる勇気が足りなかった」と本人は反省。大会後すぐに24年パリ五輪へ向けて始動した。主に下半身のウエートトレーニングに取り組み、ジャンプ力を強化。「演技に高さが出るようになった。余裕ができて入水技術も自然と上がった」と手応えを語っていた。
24年パリ五輪では高飛び込みと板飛び込みの“二刀流”での出場を目標に掲げる。日本が五輪の飛び込み競技に初参戦したのは1920年。「パリは金メダルを目指して頑張りたい」。日本のエースが104年越しの悲願達成へ、また一つ大きく成長した。
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(1)YANG Jian(中国)515・55
(2)玉井陸斗(JSS宝塚/須磨学園)488・00
(3)YANG Hao(中国)485・45
◇玉井陸斗(たまい・りくと)2006年9月11日、兵庫県宝塚市出身。小学1年で飛び込みを始め、12歳で出場した19年4月の日本室内選手権の高飛び込みで国内主要大会では史上最年少となる優勝を果たした。9月の日本選手権でも最年少優勝を達成。21年5月のW杯東京大会は8位入賞。同8月の東京五輪でも7位入賞した。好きな食べ物は焼き肉。私立須磨学園高の在学中。160センチ、55キロ。