玉井陸斗 0点から始まった高飛び込み人生

 「水泳・世界選手権」(3日、ブタペスト)

 男子高飛び込みの玉井陸斗(15)=JSS宝塚=が日本勢史上最高の銀メダルを獲得した。2001年大会で男子3メートル板飛び込みの寺内健らが獲得した3位を上回り、日本最年少で表彰台。決勝で488・00点をマークし強敵中国勢に割って入る快挙。2年後のパリで初の五輪メダルへ弾みをつけた。

 玉井の高飛び込み人生は意外にも「0点」から始まった。シニアデビュー戦となった18年6月の関西選手権。踏み切る際に足を踏み外して落ちた。演技になどならず最後は腹と顔面を水面にパーン!!と打ち付けた。24歳の記者もかつては飛び込み選手で同大会に出場。顔を真っ赤に腫らしながら悔しがる後輩の姿を今もよく覚えている。

 コーチは飛び込み大国・中国出身の馬淵崇英氏。玉井の潜在能力の高さもあって、指導にはかなり熱が入る。練習はコーチの納得がいくまでが基本。朝9時から際限なく続く。

 小学生の玉井は厳しさから泣きながら飛び込む日も多かった。ただ、腐ることはなく目線は真っすぐにコーチを見つめ、教えに必死に食らいつく。このときから日本飛び込み界を背負う使命を感じていたのかもしれない。

 19年9月の記者の引退試合。玉井自身も出場するにもかかわらず、引退する選手全員に「今までありがとうございました。最後、頑張ってください」と試合前に声をかけてくれていた。血のにじむ努力で、世界トップレベルまで上り詰めた日本のエース。感謝の気持ちと、思いやりを忘れない人間性も彼の魅力の一つだ。(デイリースポーツ・谷 凌弥)

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