東京五輪尽力の安倍元首相、スポーツ界も深い悲しみ ともに招致の太田雄貴さん「決して忘れません」
東京五輪開催に尽力した安倍晋三元首相の訃報に、スポーツ界も悲しみに包まれた。
2013年のブエノスアイレスでの最終プレゼンテーションなどともに招致活動に取り組んだフェンシングの五輪メダリストの太田雄貴さんは自身のツイッターで「本当に残念でなりません。ご一緒した事決して忘れません。ご冥福をお祈りします」と追悼し、同じく招致活動をともにした体操女子ロンドン五輪代表の田中理恵さんも自身のツイッターで「今日という日が悲しい日に。。。言葉が出てこない。ご冥福をお祈りします」と、悼んだ。
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長も訃報を受け「日本は偉大な政治家を失い、IOCは勇敢な支持者と五輪運動の親愛なる友人を失いました。IOCを代表して、ご家族、ご友人、そして日本人の皆様に心よりお見舞い申し上げます」と声明を発表した。
日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長はJOCを通じてコメントを発表し「まずもって安倍元総理のご冥福をお祈り申しあげます。民主主義の根幹をなす選挙という時期に起きた、このような卑劣な暴挙は断じて許すことができません」と、怒りを滲ませ、「安倍元総理は、公益社団法人全日本アーチェリー連盟会長を務めるなど、長くスポーツ界に心を寄せ、支えていただいておりました。2013年9月には、ロシアから直接ブエノスアイレスのIOC総会にかけつけていただき、東京2020大会開催の決定に大きな後押しをしていただいたことは多くの方の記憶に残っていることと思います。そのIOC総会のスピーチの中で1964年の東京大会の思い出に触れ、『スポーツこそは、世界をつなぐ。そして万人に、等しい機会を与えるものがスポーツであると、私たちは学びました。』とおっしゃいました。スポーツに携わる者として、安倍元総理が残したこの言葉を改めて受け止め、多様性を受け入れ社会をつなぎ得るというスポーツの根源的な価値を、これからも社会に伝えてまいります」と、悼んだ。
会長を務めていた全日本アーチェリー連盟の穂苅美奈子理事長は、「はっきり言ってすごくショックを受けております」と涙。「われわれも今さっき報道で知ったばかり。ちょっと今混乱している。朝の連絡が入った時点では本当に容体を心配しまして、とにかく祈るしかなかった。先ほど(死亡の)ニュースを聞きまして、大変残念でなりません」と、沈痛な面持ちで語った。
プロ野球の巨人-DeNA戦が行われた東京ドームでは、試合開始前に哀悼の意を込めて黙とうが捧げられた。
安倍元首相は20年東京五輪の招致に尽力。招致の最終プレゼンテーションにも参加し、世界に安全な五輪を約束した。16年リオデジャネイロ五輪閉会式には人気ゲームの主人公「マリオ」に扮し、土管から出てくるパフォーマンスで大会をアピールした。新型コロナウイルスによる大会開催の危機にも先頭に立ち、1年延期を決定した。20年11月には国際オリンピック委員会(IOC)から五輪ムーブメント推進に功績があった人物に授与する「オリンピック・オーダー」を受賞。日本人の受賞は歴代首相では初めてだった。
また、元プロレスラーで、国会議員も務めたアントニオ猪木氏は自身のツイッターで「安倍さんとは結構付き合いがあったんで、何と言うのか、惜しい人を亡くした。こういう影響を持った人が日本の中から消えて行くのは寂しい事であります」と、追悼した。