五輪以来代表の渡辺雄太「日本は練習甘い」アジア杯へ支柱自負、指揮官とも意気投合
12日に開幕するバスケットボールの男子アジア・カップ(ジャカルタ)に出場する日本代表の渡辺雄太(27)が9日、オンラインで取材に応じた。東京五輪以来となる代表復帰で、トム・ホーバス監督体制になってから初の合流となるが、「僕自身今年の夏も代表活動をしたい気持ちが強くて、いいタイミングだと思った。リーダーとして、国際大会を何度か経験している者として、学んだことや経験を(若手に)伝えていくことが大きな役割」と、支柱としての使命感を燃やした。
チームとしてはアジア・カップに向けて、まずはグループリーグ3戦全勝を目標に設定。昨季NBAラプターズでプレーし、5月には元フジテレビの久慈暁子アナウンサー(27)と入籍するなど公私ともに充実の渡辺には大きな期待が懸かる。ハードスケジュールの合間を縫って、約1年ぶりの日本代表合流となるが、「初めましての(若い)選手が半分近くいる。今後の大会含めても自分がしっかりリーダーになって、経験や学んできたことを伝えていきたい」と自負を明かし、「日本のまだまだなところは、練習からの強度の高さだとずっと思っている。米国に行って、日本の練習の甘さを痛感した。国際大会は(相手の)フィジカルも強く高さもある。(自分が)練習から先頭に立って激しくやることで、試合のための準備を練習からしっかりしていきたい」と力を込めた。
昨年9月に就任したホーバス監督は、初合流の渡辺について「彼は声をよく出して、練習中にも(若手に)声を掛けていい雰囲気をつくっている」と目を細めた。西田優大(三河)、河村勇輝(横浜)、富永啓生(ネブラスカ大)ら若手が多い中、プレーはもちろん精神的な支柱にもなっているといい、「若い選手は初めて富樫、渡辺と一緒にやって本当にレベルが上がった。(合流は)インパクトが大きい」と手応えを示した。
渡辺とは代表に合流するにあたって話し合い、「日本が強くなるにはハングリーさが大事」と意気投合したという。指揮官は「私の考え方を彼に伝えたが、私たちは考えていることがだいたい一緒。ハングリーな選手がいないと(チームは)変われない。今の代表は間違いなくハングリー。(若手らの)経験は少ないが、この気持ちがあれば(世界と)いい勝負ができる」とうなずいた。
また、前日8日には安倍晋三元首相が銃撃されるという、日本社会を震かんさせる大事件も発生した。日本代表は午前の練習を終え、バスでの移動中に一報を知ったという。ホーバス監督は「バスで(事件を)聞いてショックで、本当に(選手は)静かだった。みんな悲しかったし、日本代表は日本のためにいいバスケをやっていい勝負をやって、勝って、少しずつ日本が元気になってほしい」と沈痛な面持ちで話した。
◇グループリーグの試合日程(日本時間)
13日19時30分~ 対カザフスタン
15日19時30分~ 対シリア
17日19時30分~ 対イラン