宇良 御嶽海に勝った 4度目の対戦で初白星 30歳にして“伸びしろ”証明

 「大相撲名古屋場所・5日目」(14日、ドルフィンズアリーナ)

 平幕宇良が大関御嶽海をとったりで破り、3勝目を挙げた。4度目の対戦で初白星。同学年の大関をついに倒し、成長を示した。平幕逸ノ城は横綱照ノ富士を寄り切って5連勝。史上10位に並ぶ通算9個目の金星を獲得した。平幕若元春は初の大関戦で正代を寄り切り、2勝目を挙げた。全勝は逸ノ城1人となり、1敗で一山本、錦木ら平幕4人が追う展開となった。

 分厚かった壁をついに打ち破った。なかなか勝てなかった同級生から手に入れた念願の白星。「頑張りました」。どこかのんびりしたいつものトーンで、宇良は喜びを表した。

 仕切り線から離れた立ち合いから飛び込み、下から御嶽海を押し上げる。いなそうとした相手の右手をタイミングよく手繰ると、左へ回り込んでのとったりで、土俵の外へ放り出した。

 同じ大卒で初土俵も同期。ただ、幕下10枚目格付け出しデビューの御嶽海に対し、宇良は前相撲から番付を上げていった。過去の対戦は3戦全敗。ようやく味わえた勝利に「稽古とかも含めて、一度も勝ったことがなかった。少しでも成長できたかな」と本音をのぞかせた。

 先月22日に30歳になった。膝の大ケガで幕内から一度は序二段まで降下。それだけに「30歳に(現役で)いったのは本当にうれしい。たどり着けなかった人の方が圧倒的に多いわけで」と感慨をにじませていた。

 入門時からは苦労して約35キロ増量し、体重は148キロ。正攻法で挙げる白星も増えた。多彩な技のキレはそのまま「一番は圧力負けしないこと」が理想。「体重が増えた体を使いこなせていない。まだ伸びしろはあると思っている」。三十路(みそじ)を迎えてなお、進化に挑み続ける姿勢が何よりの強みだ。

 上位陣が崩れる中で白星先行。「元気な相撲を取りたい」と誓った宇良は、オンライン取材の会場から「ここが暑くてダメです。下がります」と苦笑いで引き揚げた。暑さは苦手でも土俵の上は別。夏の名古屋をまだまだ熱くする。

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