【羽生担当記者が見た素顔】スケート教室で垣間見えた優しい目

 フィギュアスケート男子で、2014年ソチ、18年平昌両五輪王者の羽生結弦(27)=ANA=が19日、都内で会見し、「これから競技会に出るつもりはないです」「理想とするフィギュアスケートは、競技会じゃなくてもできる」と競技の第一線から退く意向を表明した。

  ◇  ◇

 担当になったとき、すでに羽生は金メダリストだった。すでに世界中にファンがいた。五輪連覇の期待を背負いながら、常に闘志をたぎらせていた。

 羽生の「行動」には必ず意味がある。だから、練習の小さな変化一つでさえも見逃せない。一瞬たりとも目が離せない。時差の中で大量の原稿に追われ、眠気に襲われていたはずなのに、羽生の練習が始まると、眠気はいつも一気に吹っ飛んでいたから不思議だ。

 演技時の鋭い目。リンクを離れた柔らかな目。表彰台での達成感にあふれた目。さまざまな目を見てきたが、羽生の“第2の人生”を想像するたび、思い浮かぶ表情がある。17年夏、羽生がスケート教室に先生役で参加した時の優しい笑顔だ。

 羽生はあの日、子供たちに「スケートが好きな子?手を上げて。転ぶのが嫌いな子?転ぶのが好きな子?」。さまざまな問いを投げていた。「僕もたくさん転んでいます。たくさん失敗しよう」。そして「ただ失敗するだけじゃなく、どうして失敗したのか、失敗しない工夫をしよう。そしたら絶対うまくなれます」。羽生と子供たちのきらめく瞳を見ていたら、きっと指導者も向いているんだろうな、なんて、漠然と思ったものだが…。

 果たして、そんな姿を見られる日は来るのだろうか。という想像は、まだ先にとっておこう。今はただ、フィギュアスケートの求道者として一歩を踏み出す羽生を応援したい。(2016年~フィギュアスケート担当・國島紗希)

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