五輪1周年式典、安倍元首相追悼一色に IPC会長は喪服で映像撮り直し「ショック」
昨夏の東京五輪開会式からちょうど1年となった23日、東京・国立競技場で東京五輪・パラリンピック1周年記念セレモニーが行われた。冒頭では、銃撃によって死去した安倍晋三元首相の追悼VTR上映と黙とうがささげられ、式典に出席した大会関係者のあいさつでも安倍氏への追悼モード一色となった。
あいさつに立った東京都の小池百合子知事は「感謝とご冥福をお祈り申し上げます」と安倍氏を追悼。大会組織委員会会長だった橋本聖子氏も「13年の招致以来、大変なご尽力をいただいた安倍元総理に心からの哀悼をささげたい。心からご冥福をお祈りします」と悼み、スポーツ庁の室伏広治長官も「安倍元首相の訃報に接し、追悼の言葉を述べたい。大会招致に、安倍元首相の尽力なくして大会成功はなし得なかった。心からご冥福をお祈り申し上げる」と続いた。
また、VTRでメッセージを寄せた国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は「東京2020は歴史的な大会だった。前例のない歴史的な努力をしてくれたが、大会開催を後押ししてくれた1人が安倍元首相だった。彼のビジョンと決意がなければ大会は決して実現しなかった」と追悼。13年9月の東京開催決定の際、さらには20年3月の1年延期の際に同席していたことを振り返り「1周年の節目を迎えるに当たり、私たちは皆、彼に敬意と感謝を表したい」と述べた。
さらに、国際パラリンピック委員会(IPC)のパーソンズ会長は、1周年に際して撮影していたコメントVTRの前に、黒い喪服を着て撮り直したVTRで「まずは安倍氏に感謝の気持ちを述べさせていただきたい。素晴らしい大会を実現していただいた。私たちはショックを受けている。日本でこんな出来事が起こったことを理解できないでいる」と悼んだ。
続けて、「安倍元首相は重要な役割をされた。彼は素晴らしい友人であるとともに、ビジョンを持った素晴らしいリーダーだった。だからこそ、彼は努力を惜しまずに大会準備にも力を入れた。素晴らしい大会とレガシーの実現を支えてくださり、IPCよりお悔やみ申し上げる。安倍元首相なくして大会は実現できなかった。感謝を申し上げます」と追悼した。
安倍元首相は大会招致に尽力。13年にブエノスアイレスで行われた招致の最終プレゼンテーションにも参加し、世界に安全な五輪を約束した。16年リオデジャネイロ五輪閉会式には人気ゲームの主人公「マリオ」に扮(ふん)し、土管から出てくるパフォーマンスで大会をアピールした。
新型コロナウイルスによる大会開催の危機にも先頭に立ち、1年延期を決定した。20年11月には国際オリンピック委員会(IOC)から五輪ムーブメント推進に功績があった人物に授与する「オリンピック・オーダー」を受賞。日本人の受賞は歴代首相では初めてだった。大会組織委員会の名誉最高顧問を務めていた。
式典冒頭の追悼VTRでは、招致に尽力してきた安倍元首相の姿と言葉で構成され、安倍マリオの映像もあった。