14歳・比嘉もえ パリ五輪でメダル獲る AS史上最年少代表「一日一日を大切に」

 パリ五輪の開幕(2024年7月26日)まで2年を切った。アーティスティックスイミング(AS)女子で、史上最年少となる14歳での日本代表入りを果たした比嘉もえ(AS広島)が31日までにデイリースポーツの取材に応じた。プロ野球・広島でプレーした寿光氏(41)を父に持つホープが夢の五輪でのメダルを堂々と宣言した。

 「オリンピックでメダルが獲りたいです」。AS日本代表・マーメイドジャパンの新生、比嘉はパリ五輪へ向けて目線を真っすぐに意気込みを語った。

 広島市出身。友人に誘われて、小学3年生から競技に打ち込んだ。3歳から始めたバレエで培った柔軟性、一度のコーチングですぐに修正する父譲りの高い身体能力もあり、めきめきと成長。ジュニア代表入りを目指して出場した昨秋の代表選考会では、日本水泳連盟からの特別推薦を受けて史上最年少でA代表に飛び級入りした。

 一番の武器は171センチの長身を生かした、水面から垂直に高く上がるダイナミックな演技。代表デビュー戦となった5月の日本選手権では「ワクワクした。楽しい」と話すなど、大舞台にも動じないメンタルも持ち合わせている。プロ2年目に代打で初打席初本塁打を放った父の資質を十分に受け継いでいる。

 元日本代表ヘッドコーチを務めた井村雅代氏が「将来必ず日本を背負っていく選手」と話せば、現日本代表ヘッドコーチの中島貴子氏も「自分の体を扱う能力が高い。5個注意しても一発で直してくる修正力もある。世界で通用する」と比嘉の素質を絶賛した。

 代表入りした当初はチーム種目の要員だったが、昨夏の東京五輪代表の安永真白(井村ク)が故障したこともあり、代役としてデュエット種目にも大抜てき。6月に行われた世界選手権では、デュエットで4位、チームで銅1つ、銀2つとAS史上最多のメダル獲得に貢献した。

 ただ比嘉は、五輪で常に頂点に立つ最強国ロシアが不在だった中での結果に「(デュエットは)実質5位のようなもの。東京五輪(の同種目)では4位につけていたのに、私が落としてしまった」と世界デビュー戦に悔しさをにじませた。「この気持ちをバネに、もっともっとうまくなってやろうと思った」と現在は前を向き、練習に打ち込んでいる。

 アスリートの先輩でもある父から授かった大切な言葉がある。「トップアスリートになっても、天狗にならないように。天狗になったら目標が見えなくなってしまう」。幼少期からよく遊んでもらい、「出掛けるときはいつも一緒」と父を見て育った。「絶対に心掛けていきたい」と、教えを胸に刻んでいる。

 ASは表現力を争う採点競技だけに、大会で一度ついた序列が、今後の採点に影響を与えることも少なくない。パリ五輪には各大陸別選手権の優勝国と、24年2月にドーハで行われる世界選手権の上位5チームが出場枠を獲得できる。「今の技術のレベルではまだまだ。(時間が)長い短いよりも、一日一日を本当に大切に練習しないとメダルには届かない」と、一人の代表選手として覚悟を語る。

 今後は8月に開催される世界ユース選手権(アメリカ)、世界ジュニア選手権(カナダ)に出場する。パリ五輪期待の星は、色紙に「メダルを獲りたい。」と2年後に向けた決意をつづった。夢舞台へ向けて、伸び盛りの14歳が成長を続ける。

 ◆比嘉もえ(ひが・もえ)2007年9月15日、広島市出身。3歳からバレエを習い、市立天満小3年から競技を始めた。小学6年の全国大会でソロ、デュエット、チームで3冠を達成。市立観音中に進学し、21年に出場した選考会では、史上最年少の日本代表に選出された。22年世界選手権ではデュエットテクニカルルーティンで4位、チームフリールーティンで銅、チームテクニカルルーティンで銀、フリーコンビネーションで銀メダルを獲得した。AS広島所属。171センチ。52キロ。

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