プロ転向を表明したフィギュアスケートの羽生結弦さん（２７）がデイリースポーツのインタビューに応じた。１０日にアイスリンク仙台で「ＳｈａｒｅＰｒａｃｔｉｃｅ」と題した公開練習を開催するなど、プロとして歩み始めた羽生さん。現場を取材したスケート担当記者が、新たなスタートを切った羽生さんの一面を明かした。

　　◇　　◇

　７月の会見で羽生さんは「競技会の緊張感が恋しくなることは絶対にない」といい、今後の活動の中で「全力でやってるからこその緊張感をまた味わって頂けるスケートをしたい」と言っていた。

　正直難しい挑戦になるのではと思った。しかし実際、練習とは思えないほどの緊張感が張り詰めていたし、「ＳＥＩＭＥＩ」の曲をかけた時の空気感、特に３度目に挑みノーミスする姿は、平昌五輪を記者席から見つめた心境と、どこか近いものを感じた。陸上トレーニング中の地味な姿からは、華やかさや美しさとはほど遠い、屈強さや泥臭さがひしひしと伝わってきた。

　自分の理想をかなえるために「プロ」であり続けることは並大抵ではない。一方で、瞬間的に見せる少年のような笑顔がとても印象的だった。率直に、楽しそうだと思った。新たな船出の今、あえて“少年”の描く未来を聞こうと思った。

　彼は希有な存在だ。恐れることなく道を切り開いてほしい。高い理想を実現してほしい。今回の練習公開で記者が感じたように、羽生さんにしか成し遂げられないことは無限大にあるはずだから。（スケート担当・國島紗希）