JOC山下会長「力不足」五輪への疑念に無力感「特効薬ない」札幌五輪招致継続も懸念

 日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(65)が30日、都内で定例会見を行った。2030年札幌冬季五輪・パラリンピック招致を目指す中、東京大会組織委員会の高橋治之元理事が受託収賄容疑で逮捕されたことを受け「同じ過ちを繰り返さないように覚悟を持って取り組む」と再発防止を誓った上で、「(札幌招致に向けて)開催費用も含めて丁寧に説明し、理解していただけるように。(開催への支持率向上に)特効薬のようなものはない」と述べた。

 東京大会組織委元理事の汚職事件を受け、五輪そのものに対するネガティブな印象が強まっており、かねてから課題だった2030年札幌招致への機運醸成はより厳しい状況となっている。

 今月開かれたJOCの理事会では、札幌大会の招致活動を継続するべきかについて意見交換したが、「前向きに取り組んでいく」との方向性を再確認し、招致を取りやめるという選択肢については「そういった意見は全くなかった。私もそういう考えはない」と山下会長。汚職事件を受け「同じ過ちを繰り返すことは許されない」と繰り返したものの、具体的な再発防止策については明言せず、「札幌招致が決定したときには覚悟を持って(大会組織委員会の)透明性を確保していく」と語った。

 国際オリンピック委員会(IOC)による2030年冬季大会開催地の選定時期が近づく中、国内世論は盛り上がりを欠いており、「関係者一丸となって機運醸成に努めてきているが、状況は楽観できるものではないと考えている」との見立てを示した。まずは汚職事件を受けたネガティブなイメージの払しょくが急務だが、「正直言って今回の元理事の逮捕(に端を発する)、五輪に対する疑念をどうやって晴らすように努めるか、直接的に私にできることはない。力不足もある」と無力感をにじませた。

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