異例早期開催の柔道23年世界選手権代表 原則年内決定へ “超過密日程”の可能性も
全日本柔道連盟(全柔連)は29日、オンラインで理事会を開催し、来年の世界選手権(ドーハ)代表選考を前倒しし、来年2月までに決定する方針を承認した。原則として12月のワールドマスターズ(エルサレム)を終えた時点で実績面で大きく突出している選手は年内に代表に内定するが、決まらない階級は来年1月下旬に代表決定戦(東京・講道館を予定)を実施。さらに、来年2月の国際大会まで最終判断を持ち越す可能性も残し、選手によっては5カ月間で4~5大会に出場しなければいけない“超過密日程”のケースも想定される。
24年パリ五輪代表選考において最も重要になる来年の世界選手権。例年であれば夏から秋にかけて開催されるため、従来は4月の国内選考会をもって日本代表を決めていたが、来年は異例の5月開催となったため、代表選考の前倒しなどの対応が急務だった。
従来からの「早期代表内定システム」が採用されているため、今年の世界選手権(10月6日開幕・タシケント)優勝者が11月のグランドスラム(GS)・東京大会(東京体育館)も優勝した場合、来年の世界代表に決まる。それ以外は、12月のワールドマスターズの結果も含めて、実績で大きく上回る選手が代表に内定。それでも決まらない階級は、来年1月に代表決定戦を行い、複数人の代表候補同士で決着をつける。ただ、場合によってはそこでも選考せず、来年2月のGSパリ大会やGSテルアビブ大会の結果も踏まえて、最終判断する可能性があるという。
オンラインで取材に応じた高山健事務局長は、2月まで選考がもつれ込むケースの想定として「それぞれの(選考対象大会の)優勝者が別々で非常に拮抗している状態。たとえば講道館杯(10月)で彗星(すいせい)のごとく現れた選手がGS東京も優勝し、1月の代表決定戦も制しても、国際大会の戦いぶりも見てみたいという場合も想定されるのではないか。(そこまでもつれることは)ほとんどないとは思うが、追加的な材料として2月の国際大会も加味するという(選考基準の)記載になっている」と見解を述べた。また、前倒しで選考することで過密日程が生まれるが、「選手にとっては大変だが、本番(5月の世界選手権)に向けてのコンディショニングを優先した(日程)。理解してもらうしかない」と求めた。
全柔連は20年12月13日に、東京五輪代表を僅差で争っていた男子66キロ級の阿部一二三(パーク24)と丸山城志郎(ミキハウス)の一騎打ちによる決定戦を実施。1枚の五輪切符を巡って24分間の死闘が演じられた。
パリ五輪に向けたスタートとなる今年の世界選手権には阿部一、丸山の他、男子五輪王者の高藤直寿(パーク24)、永瀬貴規(旭化成)が出場し、100キロ超級は斉藤立(国士舘大)が初出場。女子は52キロ級の阿部詩(日体大)、78キロ級の浜田尚里(自衛隊)ら五輪金メダリストが出場する。一方、東京五輪金メダリストでは73キロ級の大野将平(旭化成)、100キロ級のウルフ・アロン(了徳寺大職)らは五輪以降実戦から離れている。
◆今後の主な選考対象大会10月…世界選手権(6日開幕・タシケント)、講道館杯全日本体重別選手権(29日開幕・千葉ポートアリーナ)
12月…グランドスラム東京大会(3日開幕・東京体育館)、ワールドマスターズ(20日開幕・エルサレム)
1月…世界選手権代表決定戦(下旬予定)
2月…GSパリ大会(予定)、GSテルアビブ大会(予定)